2025.4.27

製氷工場の面影残す複合施設 出会いを生み出す拠点に

繊維強化プラスチックでつくったモニュメントが幻想的な空間を生み出すギャラリー

「ブライトブルーブルーイング」内のビールの醸造室

製氷会社の建物をリノベーションした複合施設「FUJIHIMURO」

建物を管理するふじよしだ定住促進センターの移住相談窓口

個人や法人で使えるワークスペース=いずれも富士吉田市富士見1丁目

 富士吉田市富士見1丁目に建つ複合施設「FUJIHIMURO」。もともと製氷会社の事務所や氷室だった建物を改築し、ギャラリーや地ビールの醸造所などが並ぶ。入り口に設置された厚い金属製の扉など、製氷工場だった名残が今も垣間見える。
 建物は昭和20年代後半に建てられた。市内は織物業が盛んで、「織り機でガチャンと織れば1万円もうかる」との由来で「ガチャマン」と呼ばれた時代。製氷会社は歓楽街「西裏」に氷を卸し、その栄光を支えたが、約20年前に廃業した。
 管理するふじよしだ定住促進センターによると、リノベーションの構想は2014年に立ち上がった。富士山の世界文化遺産登録1周年事業として、デザインコンペを開き、最優秀となった東京理科大のチームが意匠を担った。
 16年にセンター事務所として開設したのを皮切りに、構想から足かけ5年で保育園やギャラリー、移住者向けの暮らし体験施設を備えた複合施設へと姿を変えた。施設名は氷室に由来。金属製の厚手の扉や高い天井は、製氷工場の面影を残す。ギャラリー入り口には、氷穴や水をイメージしたオブジェを配置し、幻想的な雰囲気をつくり出している。建物前の敷地では、定期的に土曜市も開かれる。
 21年1月には、地ビール醸造所「ブライトブルーブルーイング」も建物内にオープン。
 近隣の子どもからお年寄り、市外のアーティストや移住希望者など、幅広い層が集う場所へと変貌した「FUJIHIMURO」。

(2025年4月25日付 山梨日日新聞掲載)

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