2025.2.25

【富士山の日特集】吉田口登山規制 今夏の変更点は

富士山吉田口登山道5合目に設置されたゲートの前で、右手首に着けたリストバンドを担当者に見せる登山者(昨年7月、撮影)

■通行料4000円 閉鎖前倒し

 山梨県は昨夏、富士山吉田口登山道で宿泊せずに夜通し登る「弾丸登山」やオーバーツーリズム(観光公害)への対策として、初めて5合目で登山規制を敷いた。通行料2千円を徴収し、5合目に設けたゲートで午後4時~翌日午前3時は通行を規制。昨夏を踏まえ、今夏は通行料を2千円から4千円に引き上げ、ゲート閉鎖時間を2時間前倒しする。静岡県も3登山道で金額、時間をそろえた規制をする方針で、富士山4登山道で統一した規制が行われる。
 山梨県富士山保全・観光エコシステム推進グループによると、昨夏は5合目総合管理センターから約50メートル先にゲートを設置した。1人2千円の通行料を徴収し、午後4時~翌日午前3時と1日の上限4千人に達した場合、山小屋宿泊予約者以外の通行を規制。規制導入に伴い、ゲート通過を確約する通行予約システムも導入した。
 ゲート付近の状況が確認できるライブカメラを設置し、リアルタイムで混雑状況を発信。駅や駐車場などで規制情報を周知するスタッフ、登山道の巡回指導員も増員した。また、開山後の7月13日夜に登山道で滞留したり仮眠したりした外国人登山者が確認され、東南アジアの国の大使館や外国人向け旅行会社などに改善への協力を要請した。
 7月1日~9月10日の開山期間中に、弾丸登山者が想定される時間帯の登山者は前年度比95%以上減少。5合目通過を許可した人数は、9月7日の3382人が最多で4千人に達した日はなかった。ただ、ゲートの閉鎖直前にゲートを通過する「駆け込み登山」がみられ、軽装登山の問題が残った。
 県は安全登山のため、今夏に向けて規制を見直した。通行料は4千円に引き上げ、原則千円の任意の富士山保全協力金(入山料)は廃止する。駆け込み登山の防止のため、ゲートは午後2時~翌日午前3時に閉鎖する。

(2025年2月23日付 山梨日日新聞掲載)

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