「富士山の日」なぜ2月23日?

富士吉田市の上空から望む富士山(2024年2月)
みなさんは2月23日が何の日か知っていますか。「天皇誕生日」の祝日ですが、山梨県にとっては「富士山の日」でもあります。2011年、山梨県議会の11月定例会で、2月23日を「富士山の日」とするための条例ができました。当日はこれに合わせて、いろいろなイベントが毎年あります。では、どうして「富士山の日」を2月23日に決めたのでしょうか。「富士山の日」を定めることにどのような目的があるのでしょうか。
2・23 美しい姿、未来へ
山梨県内では、2001年に富士山のふもとにある河口湖町(現富士河口湖町)が「富士山の日」を定めました。町の条例で2月23日としました。富士山を世界文化遺産に登録することを目指して山梨県と一緒に活動していた静岡県は09年に同じ2月23日を「富士山の日」に定めています。
山梨県では、11年の9月定例県議会で当時の横内正明知事が議員からの質問に対して「『富士山の日』は富士山を後世に引き継ぐための運動の推進や、世界文化遺産登録に向けた国民運動などの取り組みに有効だ」と答え、富士山の日を定める考えを明らかにしました。この年の11月、富士山の日を定める条例案が県議会に提出され、12月に議会が条例案に賛成して条例ができました。
条例では「富士山の日」を定める目的について、「富士山に対する理解と関心を深め、豊かな自然や美しい景観などを後世に引き継ぐため」としています。2月23日に決めたのは、2月23日が語呂合わせで「ふじさん」と読めることからです。
山梨県が条例を定めてから初めての「富士山の日」となった12年2月23日には富士吉田市で記念式典がありました。富士山の世界文化遺産登録に向けた住民たちの盛り上がりを目指して、山梨県と静岡県などでつくる「富士山世界文化遺産両県県民会議」ができました。13年の富士山の世界文化遺産登録を実現させるという誓いを新たにしました。富士北麓地域など県内各地では、条例ができたことを祝っていろいろなイベントがありました。
富士山は13年6月、世界文化遺産に登録されました。世界文化遺産となった富士山には国内外から多くの観光客が訪れて、交通渋滞や人の混雑によって地域の環境が悪くなるオーバーツーリズム(観光公害)の問題が注目されるようになりました。
昨年夏の富士山では、県が5合目にゲートを造って富士山に登る人の数を抑えるための規制を初めて取り入れました。登山者の意思で払う原則1000円の富士山保全協力金(入山料)とは別に、ゲートを通る人に2000円の通行料を払ってもらうことにしました。午後4時~翌日午前3時はゲートを閉じて山小屋に泊まる人以外が通行できないようにし、ゲートを通過する人を1日4000人までとしました。今年の夏は、通行料が4000円、ゲートを閉じる時間は午後2時に変更されます。
一方、長崎幸太郎知事は、富士山のふもとと5合目を結ぶ有料道路に、鉄道に代わる方法としてゴムタイヤで路面を走る「富士トラム(仮称)」を取り入れることを検討しています。富士山に登る人の数が多くなりすぎないようにするための取り組みです。
国内外から注目が集まる霊峰。昨年の「富士山の日」は、「富士山と芸術」をメインテーマにしたイベントがあり、富士山が登場する絵画や映画、歌などを専門家が紹介しました。今年も県内ではイベントが盛りだくさんです。

「富士山の日」を定めたことを祝った記念式典=富士吉田・ハイランドリゾートホテル&スパ(2012年2月23日)

河口湖冬花火湖上の舞のフィナーレとして開かれた「富士山の日記念花火大会」=富士河口湖・河口湖(2012年2月23日)

「富士山の日」に道の駅富士吉田で開かれたイベントで、富士山に向かっておにぎりを頰張る参加者(2024年2月23日)
(2025年2月20日付 山梨日日新聞掲載)