2024.6.27
桜桃忌太宰しのぶ 富士河口湖 文学碑に献花
作家太宰治(1909~48年)の命日(19日)に合わせ、太宰が一時滞在した御坂峠の天下茶屋(富士河口湖町)で22日、山梨桜桃忌が開かれた。
県内外から約20人が集まり、「富嶽百景」の一節が刻まれた文学碑にサクランボを供え、花を手向けて太宰をしのんだ。天下茶屋では、山梨桜桃忌の運営を担当する城西国際大准教授の望月純吉さんのゼミ生4人が太宰の短編小説「失敗園」の一節を朗読した。
失敗園は狭い家庭菜園に植えられた野菜や花たちが、自分たちのふびんな状況をぼやくというコミカルな筆致の作品。望月さんは作品について「野菜たちの窮屈さは、人の生きづらさを表しているようだ」と話し、参加者からは「『命かぎり咲いたものだから、早く老い込んじゃった』という表記は、太宰が人生を重ねているように思えた」などの意見が出た。朗読した学生の一人は「生育環境の異なる植物のせりふをどう表現するか気を配った」と話した。
(2024年6月25日付 山梨日日新聞掲載)
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