2024.6.03

5合目混雑状況 生配信 富士山吉田口
県、カメラ設置へ

 今夏の富士山吉田口登山道のオーバーツーリズム(観光公害)対策で、山梨県は29日、通行規制のために設ける5合目のゲート付近にライブカメラを設置し、混雑状況をリアルタイムで発信すると明らかにした。富士急行線富士山駅と河口湖駅に通行規制を周知するスタッフを新たに配置し、巡回指導員も3倍以上に増員。混乱の回避とともに、安全な登山につなげる。
 県富士山保全・観光エコシステム推進グループによると、ライブカメラは2カ所に設置する予定で、1人2千円の通行料を支払う受け付けやゲート周辺の状況を、県ホームページでリアルタイム配信する。通行料の電子決済を円滑に行うため、衛星インターネットサービス「スターリンク」も導入するという。
 富士山駅、河口湖駅、富士山パーキングで、規制情報を周知するスタッフを新たに延べ500人配置。登山者の上限が1日4千人であることや、午後4時に5合目のゲートが閉まることなどを発信する。
 登山道の巡回指導員は延べ62人から延べ210人に増員。昨年までは週末のみ2人一組で巡回を実施していたが、今夏は平日も巡回を行う。週末や繁忙期は巡回を最大3組に増やし、宿泊を伴わない弾丸登山の防止などを呼びかける。吉田口登山道で導入する登山の事前予約数は29日午後4時現在で、1万4103人となっている。
 長崎幸太郎知事は29日の定例会見で、「今年は富士山をめぐるオーバーツーリズム問題の正念場」と強調。登山者数の上限を設定したことを挙げ、「初めての取り組みで混乱が生じることは覚悟しないといけないが、混乱を少しでも小さいものにする。関係者の意見、工夫も取り入れ、できる限りの努力をしていく」と話した。
 富士山の開山期間は7月1日~9月10日。今夏は新たに5合目の総合管理センター付近にゲートを設け、ゲートの通過者から1人2千円の通行料を徴収する。通行料を支払うとリストバンドが配られ、着用することでゲートを通れる。登山者の上限は1日4千人で、上限に達したらゲートを閉鎖。午後4時~翌日午前3時もゲートは閉じるが、ゲート閉鎖時も山小屋宿泊者は通過することができる。

(2024年5月30日付 山梨日日新聞掲載)

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