2023.8.15

富士山臨時支局 1合目ご神体北口本宮へ 「鈴原社」元宮司の遺志継ぎ遷座

ご神体を唐櫃に納めて運ぶ神職=富士吉田市上吉田

 富士山1合目の神社「鈴原社」のご神体が富士吉田市の北口本宮冨士浅間神社に移された。鈴原社の宮司だった小佐野文男さんが自宅で祭っていたが、昨年7月に死去。小佐野さんの思いを継ぎ、北口本宮冨士浅間神社は新たに社殿を設けて守っていくという。

 鈴原社は1830年代の建立とされる。吉田口登山道に現存する建物の中では最も古く、大日如来像が安置されていた。小佐野さんの家系は江戸時代から代々、鈴原社の宮司としてご神体を守ってきた。
 麓から5合目までの神社や山小屋は、1964年の富士山有料道路の開通によって人通りが少なくなって廃れ、常駐する人がいなくなった鈴原社も荒廃が進んだ。ご神体は自宅に移されて安置していた。
 小佐野さんは昨年7月に72歳で死去。北口本宮冨士浅間神社の権禰宜だったこともあり、生前、上文司厚宮司に「鈴原社のことをお願いします」とご神体を託す思いを伝えていた。
 小佐野さんの思いを継ぎ、神社は1日にご神体を移す遷座祭を挙行。小佐野さんの自宅から唐櫃に納め、神職2人が約1・5キロ先の神社まで担いで運んだ。神社の西宮本殿を仮社殿として祭り、近くに新たな社殿を設けるという。

(2023年8月10日付 山梨日日新聞掲載)

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