2023.8.10
富士山臨時支局 写真日記 視界開け眼下に花火
1日午後8時ごろ、富士山8合目の山小屋「太子館」前。夕方まで周囲を覆っていた雲はなくなり、眼下に富士北麓地域の夜景が広がっていた。しばらくすると、山中湖から花火が打ち上がった。標高約3100メートルから、湖面や町を照らす明かりを写し取った。
天候を気にしながら歩いた一日だった。雨が降っていれば「山中湖報湖祭」の花火は見えない。時折雨やひょうが降り、不安がよぎった。午後8時、晴れ間があることを期待して山小屋前に足を運ぶと、視界は開けていた。
世界文化遺産登録から10年の節目を迎えた。新型コロナウイルス対策が緩和され、富士山は例年の姿を取り戻しつつある。活気が戻り、売店や山小屋の関係者の表情も明るく見えた。
他方で登山者の増加や、山小屋に宿泊せずに一気に山頂を目指す「弾丸登山」への対策など課題もある。10年、20年先に向けて、課題とどう向き合うのか。富士山を取り巻く状況を見つめていきたい。
(2023年8月9日付 山梨日日新聞掲載)
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