富士山頂人数を規制 県方針、混雑時県警と お盆期間中に実施へ
山梨県は、富士山頂付近の吉田口登山道が登山者で混雑した場合、県警と合同で登山者の進行を一時的に規制する方針を決めた。8合目付近で警察官が登山者に停止を求め、頂上の混雑が緩和されたら解除する仕組みを検討している。7月の登山者数は既に新型コロナウイルス禍前の2019年同月を上回っていて、混雑による事故を防ぐため初導入する。10日までに体制を整え、特に混雑が予想されるお盆期間中に実施する。
県世界遺産富士山課によると、規制の適用対象となる時間帯は午前0~5時ごろを想定。山頂で御来光を眺めようとする登山者らで混雑しやすい時間帯で、転倒や落石などの発生リスクが高いという。
県が吉田口登山道で計測している登山者数や、山頂近くに配置している安全誘導員らの情報を基に、県と県警が規制の必要性を判断する。規制する場合は8合目付近で、警察官が山頂を目指す登山者に歩みを止めるよう求める。山頂の人数が減ったら規制を解き、再び登れるよう案内することを考えている。
県などは18年、吉田口登山道の登山者数の上限を「1日4千人」と設定。今回、規制の必要性を判断する際の目安に位置づける。混雑回避の実効性を持たせるため、一定の強制力を持つ警察官に協力を求めることとした。現在、県警と規制の詳細を詰めていて、祝日の11日をめどに運用を始めたい考え。お盆期間が終わってからも、混雑状況を見ながら当面は続ける。
富士吉田市の集計では、7月に6合目を通過した登山者数(速報値)は7万530人。新型コロナウイルス禍前の19年同月(6万1240人)の1・2倍で、過去10年で5番目に多かった。県は、世界文化遺産登録10年の節目に当たる今夏は登山者数が増加するとみて、規制の導入を決めた。課の担当者は「早めに体制を整え、混雑に備えたい」と話している。
(2023年8月2日付 山梨日日新聞掲載)