富士登山見守る医療チーム 8合目救護所 24時間対応
富士山は1日、山開きを迎えた。今年は世界文化遺産登録から10年の節目に当たり、また新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが「5類」に移行され、多くの登山者が見込まれている。その富士山で体調不良やけがをした登山者の応急処置に当たるのが救護所だ。標高約3100メートルに位置する8合目の救護所は、医師や看護師らのボランティアが支えている。
富士山8合目富士吉田救護所は2002年、吉田口登山道8合目の山小屋「太子館」と山梨大、富士吉田市が共同で開設した。標高が3千メートルを超え、気温が低く酸素も薄くなって高山病の症状が出やすく、「8合目に救護所が必要」との関係者の思いからだ。以来、同大付属病院や富士吉田市立病院、県立中央病院などの医師や看護師らのボランティアで運営している。
例年7月中旬から8月下旬まで、医師や看護師らが4人1組となって、2泊3日の交代制を敷き、24時間体制で対応に当たる。症状は高山病が6割以上を占め、ねんざや打撲も多い。受診・応急処置を受ける登山者は多い年で500人に上る。
今夏は新型コロナ5類移行と世界文化遺産登録10年が重なったことから、既にシーズン中の山小屋の予約がほぼ埋まり、大勢の登山者の来訪が予想される。このため、例年8月末までとしていた救護所の開設期間を開山期間最終日の9月10日まで延長して対応に当たる。
市などは、山小屋に泊まれない人たちが夜間に一気に山頂を目指す「弾丸登山」の増加も見込まれるとして、弾丸登山の自粛や計画的な登山計画、十分な装備での登山を呼びかけている。
(2023年7月1日付 山梨日日新聞掲載)