富士噴火 実践的に訓練
課題把握、練度向上へ 5合目関係者
富士山の観光関係者らでつくる「富士スバルライン自主防災協議会」は31日、富士山5合目で富士山噴火の可能性が高まったことを想定した訓練を行った。4年ぶりの訓練となった今年は、訓練のさなかにけが人や登山者の情報が知らされ「臨機応変な対応」が求められる実践的な内容で実施した。情報共有や人員体制のあり方などの課題が浮かび、協議会は今後、訓練を通して練度を上げていく方針。
富士山5合目の売店や山小屋関係者、県警、富士五湖消防本部などから約150人が参加。夏山シーズンの富士山で火山性地震が増加し、気象庁が噴火警戒レベル3(入山規制)を発表したとの想定で行った。
参加者は、5合目以上にいる登山者役や5合目に訪れた観光客役を誘導し、自主下山が可能かを聞き取ったり、バスまで案内したりして避難させるまでの手順を確認。警察や消防などと情報を共有して連携を図りながら、負傷者の搬送や救護訓練も行った。
これまでの訓練は、参加者に内容を事前に知らせた上で行ってきたが、今回はけが人の発生や負傷程度、下山中の登山者数などの情報が訓練中に対策本部に入る仕組みにした。本部から各現場にいる参加者に対応を指示するなど実際を想定した内容とした。
協議会の小佐野昇一会長は「3年間、新型コロナの影響で訓練ができず、まずは再開できたことがよかった」と感想。今回の訓練では、避難誘導を担う体制づくりや役割分担、情報共有を行う無線の数などの課題が浮き彫りになったといい、「問題点を整理して、確実な避難につなげるため、練度を上げていかなければならない」と話した。
(2023年6月1日付 山梨日日新聞掲載)