2023.4.01

正しく避難 人材養成を

富士山研・吉本主幹研究員に聞く

 富士山噴火に備えた避難基本計画の最終報告が公表されたことを受け、富士山科学研究所の吉本充宏主幹研究員に、観光客や要支援者に避難してもらう際のポイント、自治体や住民に求めることなどを聞いた。

 -登山者を含む観光客は帰宅、要支援者には車での避難を求めた。注意点は。
 「溶岩流が市街地に流れてきても、中間報告で示したように一般の住民であれば歩いても十分逃げられるが、要支援者はそうはいかない。要支援者に道路を優先して使ってもらうためにも、渋滞を起こさないよう、観光客に早めに帰ってもらうことが何より大事だ。住民に求めた徒歩での避難は代表例で、自転車、リヤカーなど、渋滞を起こさないなら手段は問わない」

 -外国人観光客に避難を促す上で必要なことは。
 「現地の人たちが正しい避難行動を見せることが、最も有効だと考える。外国人はまずその姿を見て、倣うだろう。山小屋関係者や登山ガイドらと協力し、適切に避難を誘導でき、自身も正しい行動を取れる人材を養成する必要がある。当然、多言語での避難情報の発信も大事だ」

 -市町村は最終報告の内容を地域防災計画などに反映することになる。
 「最終報告は骨子であり、市町村は個々の地域事情を踏まえた計画を作成する。民間事業者も個別の計画を作る必要がある。作って終わりでなく、合理的な内容かどうか訓練で検証しなければならない。住民も自身の家、職場、家族が日中いる場所を踏まえ、有事の際にはどう動くべきか整理してほしい」

(2023年3月30日付 山梨日日新聞掲載)

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