富士山小屋 65%値上げ
昨夏 今後は35%が意向 コロナ影響調査
富士山世界文化遺産学術委員会(委員長・青柳正規富士山世界遺産国民会議理事長)は15日、東京都内で会議を開いた。富士山世界文化遺産協議会が行った、新型コロナウイルスの影響に関する山小屋へのアンケート調査の中間報告があり、コロナ禍前と比べて昨夏の宿泊料金を値上げした山小屋が65.5%に上り、今後については35.5%が「値上げする」と回答したことが報告された。
アンケートは今年の6~7月に5合目以上の山小屋40軒を対象に実施し、31軒から回答があった
昨夏とコロナ禍前の2019年夏の宿泊料金の比較を尋ねたところ、「1~2割上げた」が最多の55.2%で、「3~4割上げた」が6.9%、「5割以上上げた」が3.4%だった。「変えなかった」は31.0%。今後については「値上げする」としたのが35.5%で、「変更しない」が41.9%、「未定」が19.4%だった。
昨夏と19年夏の宿泊者数の比較については「7~8割減った」が51.7%で最多。「5~6割減った」(20.7%)、「3~4割減った」(13.8%)などと続き、「増えた」「変わらなかった」と答えた山小屋はなかった。
山小屋からは「コロナ禍以前の宿泊客の詰め込みは行き過ぎた部分もあった。料金を下げて収容人数を増やすのは難しい」などの声があった。
一方で、登山者の減少による自然面への影響は、山小屋と登山ガイドへのアンケートやヒアリングでは確認されなかった。
出席した委員からは「コロナ禍を経て、これからの富士登山の在り方をどのようにしていくべきか、今回を契機に考えることが大事」などの意見が出た。
学術委ではこのほか、今夏の登山者数の動向や富士山保全協力金の協力率などの結果を確認。21年度の年次報告書案を大筋で了承した。
(2020年11月16日付 山梨日日新聞掲載)