2022.8.26

御師の道 ろうそく照らす

吉田の火祭りで初企画 文化継承願う

 富士講信者を世話した御師の家の後継者でつくる一般社団法人「カノエサル」は26日、富士吉田市内で開かれる「吉田の火祭り」で、御師住宅の細道にろうそく700本をともす。御師住宅について知ってもらい、文化の継承につなげようと初めて企画した。当日は、たいまつの火とともにろうそくの明かりが会場を照らす。

 カノエサルによると、ろうそくをともすのは、表通りから奥まった御師の家に続く特有の細道「タツミチ」。26日は、御師住宅など17軒の協力を得て、メンバーらが各家のタツミチに30~50本を並べ、午後6時ごろ点灯する予定。

 ろうそくは、竹製の土台に立て、厚紙で囲む。厚紙は、織物を作る時に使う、細かな穴の開いた「紋紙」を活用。すべて手作りで、メンバーが2日間で700個を仕上げた。当日は大通りをたいまつの火が照らし、タツミチには紋紙の穴からろうそくの明かりがこぼれ、幻想的な空間を演出する。

 カノエサルは、御師の家「菊谷坊」と「大雁丸」の後継者ら4人が、富士山の信仰登山や御師文化を残し、御師の家の役割や歴史、魅力を発信していこうと今年5月に設立。麓からの富士登山の再興を図ろうと登山道整備も計画している。

 法人の勝俣俊二理事は「御師文化の価値を感じてもらうとともに、吉田の火祭りの歴史についても関心を持ってもらえたらうれしい」と話している。

(2022年8月25日付 山梨日日新聞掲載)

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