ヨルダンとトレイル交流

富士山ガイド団体代表 政府招待で視察　情報発信在り方学ぶ

　富士山で登山ガイドなどを行う一般社団法人「マウントフジトレイルクラブ」の代表理事太田安彦さん（４０）がヨルダン政府の招待で、ヨルダントレイルの視察ツアーに参加した。世界遺産の古代都市遺跡や砂漠など変化に富むコースを巡り、「刺激的な旅だった」と回顧。今後もヨルダン側との交流を続けたい考えで、「富士山の持つポテンシャルをもっと広く伝えていきたい」と話した。

　ヨルダン政府は２０１５年、国家プロジェクトとして国内約６００キロを縦断する「ヨルダントレイル」のコースを整備。今回は政府が主催し、日本全国の自治体やアドベンチャーツーリズムの関係者、地域のロングトレイル運営者９人が招かれ、太田さんも「富士山ロングトレイル」（総距離計１７０キロ）のコース策定などに携わった実績から、招待された。

　５月２８日～６月５日の日程で参加。米映画「インディ・ジョーンズ　最後の聖戦」のロケ地として知られる世界遺産の古代都市遺跡・ペトラ遺跡、ワディラム砂漠、ヨルダン最高峰ウンム・アッダーミなどをバスで移動しながら巡った。

　ヨルダンについて「歴史の深さに加え、人種も宗教など多くの面で多様性を感じた」と回顧。中でも地元を誇らしげに語る現地ガイドの姿に刺激を受け、「アイデンティティーの強さは見習うべき点だった」と振り返る。その上で、「富士山の豊かな自然、きれいな水など高いポテンシャルをまだ伝えきれていない」と話し、丁寧に情報発信する必要性を痛感したという。

　今回のツアー参加で、ヨルダン政府関係者とのつながりができた。「富士山に来た際には案内したい。今回の縁を大切に関係を築き、交流を続けていきたい」と話す。

　富士山トレイルのＰＲに向けて、太田さんは今後、関係者向けのツアーやイベント、シンポジウムなどを定期的に開催していく考えで「現地を見てもらい、体験してもらうことが重要。われわれは富士山の魅力をさらに掘り下げていきたい」と抱負を語った。

　１４日には富士吉田市役所を訪れ、堀内茂市長にヨルダンでの活動を報告。堀内市長は報告を受け、「富士山周辺を楽しめるようなまちづくりを進めていきたい」と話した。

(2022年7月22日付 山梨日日新聞掲載)