2022.3.25

チョウ 自然草原は多種

富士山科学研究所・大脇さん調査 都市緑地の3倍超確認

 国内の草原に生息するチョウについて調べている県富士山科学研究所の大脇淳研究員(45)が、昔からある草原と都市緑地など人工の草原にいるチョウの生態の違いをまとめた。昔からある草原に豊富な種類のチョウが生息するとして、自然の状態に近い草原を保全する重要性を訴えている。

 研究は2016年から、チョウの生息環境が詳細に記載された図鑑を資料に、成虫になる周期や幼虫の食性、固有種の数などを分析。耕作地や都市緑地など人工草原と自然草原のチョウを比較した。

 人工草原に生息するチョウは11種類。1年に複数回成虫に羽化する周期があり、広い範囲で分散して生息地を探す性質が確認できた。

 一方、自然草原では3倍超の38種類のチョウが確認された。日本にしか生息しない固有亜種も多かった。森林に生息するチョウの生活史に類似し、成虫に羽化する年間周期はほとんどが1回だった。

 大脇研究員は、多くのチョウの種類が確認された自然草原を保護する重要性を強調。「チョウの視点から草原に関心を持ち、歴史の古い草原を良い状態で保全する方法を考えてほしい」と話している。

 研究内容は甲府市内で開く成果発表会で報告する予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け中止となったため、研究所は31日まで、解説動画を公式ホームページで公開している。

 このほかの研究員による「風景の価値は測れるのか」「降灰した道路で自家用車は使えるのか」をテーマにした動画も紹介している。

(2022年3月23日付 山梨日日新聞掲載)

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