2022.1.24

富士山信仰用具 重文に

文化審答申 富士吉田市所蔵4039点

 国の文化審議会(佐藤信会長)は21日、富士吉田市の上吉田地区(富士山吉田口)の「御師の家」などに伝わる富士山信仰用具を、重要有形民俗文化財に指定するよう文部科学大臣に答申した。かつて山岳信仰で富士山頂を目指した富士講を世話した御師の家や山小屋が使っていた道具など4039点が指定される見通し。

 用具は御師の家や山小屋から市が寄贈を受け、ふじさんミュージアムで収蔵している。市教委は江戸時代から富士山をあがめて登山に訪れた富士講が集まる一大拠点として栄えた吉田口の貴重な資料として、2015年に指定へ向けた調査に着手。民俗学などの専門家らでつくる市の調査委員会が調査し、市が昨年12月ごろ文化審議会に調査結果を提出した。

 今回指定される見込みの用具は、江戸時代に御師の家で祭られていた「木花開耶姫命」の像や、平穏無事などの祈願に使った祭具、富士講が身にまとった行衣、山小屋がお茶を入れるために使った茶釜など。富士講発展の端緒をつくった食行身禄(1671~1733年)が残した掛け軸といった資料も含まれる。

 本年度中に行われる官報告示を経て、「吉田口の富士山信仰用具」の名称で正式に指定される。市教委によると、指定されることでより富士山信仰の歴史を発信しやすくなり、保存修復のための支援も国から得られるという。

 ふじさんミュージアム学芸員で市教委歴史文化課の篠原武課長補佐は「地域で貴重な資料を守り継いできてくれたおかげで、国の宝として認められた。指定された信仰用具から富士山信仰の歴史を多くの人に感じ取ってもらいたい」と歓迎する。

 県によると、県内の重要有形民俗文化財の指定は、早川町の「甲州西山の焼畑農耕用具」(1989年指定)に続き2件目となる。

(2022年1月22日付 山梨日日新聞掲載)

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