「顔パス」導入へ実験
富士急、非接触に対応
富士急行や大手電機メーカーのパナソニックなど4社は11月1日、観光客が富士五湖地域の観光施設や交通機関で、顔認証だけで買い物や乗車ができる「手ぶら観光サービス」の実証実験を始める。新型コロナウイルス禍で高まる「非接触」の需要に応えるとともに、移動の利便性を向上させることが狙い。
実証実験では、富士急ハイランド内の売店や温泉施設「ふじやま温泉」(いずれも富士吉田市)、富士急行線河口湖~下吉田駅間の改札口、周遊バス4路線などに顔認証システムを導入する。
利用希望者はスマートフォンなどからダウンロードしたアプリでデジタルチケットを購入し、顔写真とクレジットカードを事前に登録すれば、2日間、現金や交通系ICカードなどを用意せずに顔認証だけで決済や交通機関の利用が可能。期間は12月31日まで。富士急行などはデジタルチケットの購入枚数や利用者の反応を検証し、本格的な導入を検討していく。
富士急行によると、富士五湖周辺の観光は特定の場所だけを訪れて帰る客が多く、周遊性の向上が課題となっていた。同社事業部の雨宮正雄部長は「顔認証の導入で新型コロナ感染症対策と周遊性の向上を両立し、コロナ禍で打撃を受けた観光需要を回復したい」と話している。
富士急行は11月1日、顔認証システムを利用して決済した観光客を対象に、周辺の観光施設の割引クーポンを配信する。アプリには交通機関の経路を検索できる機能もある。
10月27日には富士急ハイランドなどで顔認証システムのデモンストレーションを実施。富士急行の社員が実際に電車や周遊バス、駅の売店などで顔認証を利用した。
(2021年10月28日付 山梨日日新聞掲載)