富士山入山料が最少
2年ぶり開山 64%減 3538万円
山梨県は30日、2年ぶりに開山された今夏の富士山保全協力金(入山料)の徴収状況を発表し、総額は2019年と比べ6497万8548円(64.7%)減の3538万7023円で、本格導入の14年以降で最少となった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で登山者が大幅に減ったことが要因。支払った人の割合(協力率)は2ポイント減の65.2%で、目標の70%を下回った。
今夏の開山期間は7月1日~9月10日。県世界遺産富士山課によると、現地受け付けは3510万6023円で、19年より6088万6509円(63.4%)少ない。インターネットやコンビニエンスストアの利用は23万円(69.5%)減の10万1千円。同課での受け付けは386万2039円(95.5%)減の18万円だった。
富士吉田市の発表によると、今夏の吉田口登山道の登山者数は6万5519人で、統計を始めた1981年以降で最少。市や県は、新型コロナの感染拡大により全国的に緊急事態宣言が発令されたことや、天候が不安定な日が続いたことなどが要因とみている。
入山料は下山道整備やトイレ、救護所の維持管理などの財源とするため、登山者に任意で原則千円を支払ってもらう仕組み。5、6合目で徴収し、千円未満も受け付けている。県は今夏、感染症対策として、徴収場所などで登山者の検温を実施した。
協力率は環境省が調べた登山者数を基に算出していて、例年50~60%台で推移。19年より低かった理由について、県は感染拡大の影響に伴い、例年、徴収に協力的だった団体ツアーが中止になったことなどを挙げる。同課は「協力率が上がるよう周知の方法を見直し、協力金の意義を発信していきたい」と話している。
(2021年10月1日付 山梨日日新聞掲載)