2021.9.05

富士山噴火「逃げ遅れゼロ目指す」

避難計画広域化へ論議 山梨など3県

 山梨、静岡、神奈川3県などでつくる「富士山火山防災対策協議会」は2日、3月に公開された富士山噴火時の改定版ハザードマップに基づき、広域避難計画を改定する検討委員会の初会合を開いた。改定版ハザードマップで広がった噴火の影響範囲を踏まえた計画の策定を目指す。

 県火山防災対策室によると、検討委員会は富士山科学研究所の藤井敏嗣所長を委員長に、3県の大学教授や防災関係者らで構成。この日はオンラインで会議を開き、藤井委員長が「観光客、要支援者などの避難対応、防災力向上のための方法などを検討し、逃げ遅れゼロを目指す」とあいさつした。

 事務局である県が、改定版ハザードマップでは溶岩流の影響が富士吉田市などの市街地にも広く及ぶことや、現行の広域避難計画に基づく避難方法について説明。委員からは「以前の避難計画にとらわれず、ゼロから考えていくべき」などの意見があったという。

 また、県は広域避難計画の名称を「富士山火山避難基本計画」(仮称)とする案も提示。「広域避難計画とすると市町村をまたいだ避難というイメージが強くなるため、より分かりやすい避難計画とするため名称の変更を検討した」(県担当者)という。

 次回の会合は10月26日を予定。噴火時に実際に避難にかかる時間を踏まえ、住民や要支援者、観光客などの避難方法などについて検討していく。本年度中に残り3回の会合を開き、広域避難計画の策定を目指す。

(2021年9月3日付 山梨日日新聞掲載)

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