2021.7.31
噴火時研究員を相互派遣
山梨と神奈川 初の協定
山梨、神奈川両県は28日、富士山や箱根山の噴火時、火山研究員を相互に派遣する協定を結んだ。被災県で応急・復旧対策に必要な長期的観測・調査を可能にする。平時は定期的な連絡会議や情報伝達訓練を通して連携の強化を図る。山梨県が火山防災に関連して他県と協定を結ぶのは初めて。
主に連携するのは、富士吉田市にある山梨県富士山科学研究所と神奈川県小田原市の同県温泉地学研究所。富士山や箱根山が噴火したり、噴火の兆候が見られたりした場合、相互に研究員を派遣し、溶岩流の流れや噴煙の観測・調査、活動評価を行う。平時も研究者と両県の火山防災担当者が、情報伝達訓練や火山防災対策の会議、互いの得意分野を生かした共同研究を行う。
有事の際は24時間態勢で長期間の観測が必要になることが予想されるが、両研究所の研究員は各10人弱で、態勢維持の面で課題があった。これまでも個人レベルで研究者の交流や支援はあったが、協定を締結したことで、より組織的に迅速な応援が可能になるという。
28日はオンラインで締結式を行い、長崎幸太郎知事と黒岩祐治神奈川県知事、富士山科学研究所の藤井敏嗣所長、温泉地学研究所の板寺一洋所長が出席。長崎知事は「箱根山での先進的な観測の知見を富士山の観測にも役立てたい。両県民の安全確保につなげていく」とあいさつ。黒岩知事は「(2015年の)箱根山の噴火で、連携と備えが大事であると痛感した。最悪の事態を想定し、しっかりと連携していく」と話した。
(2021年7月29日付 山梨日日新聞掲載)
広告