富士山噴火「正しく避難を」
ハザードマップ専門家が解説 初の説明会に500人
今年3月に富士山噴火ハザードマップの改定版が公表されたことを受け、溶岩流到達の恐れがある富士北麓・東部地域で改定後初となる住民説明会(富士吉田市主催)が22日、市内で開かれた。県富士山科学研究所の研究員らが噴火した場合に想定される被害範囲などを説明。市民約500人が参加して説明に耳を傾け、噴火災害に対する住民の関心の高さをうかがわせた。
研究所の吉本充宏主幹研究員は、噴火時の溶岩流や火砕流、融雪型火山泥流の到達地域を示したマップの見方や、改定した経緯を説明。溶岩流のシミュレーション動画の紹介で、噴火から2時間程度で市街地に溶岩流が到達することを伝え、「富士山の噴火の性格を的確に知り、正しく逃げることが大事。常に噴火を意識することが最大の防御策」と話した。
質疑応答では質問がなかったが、参加者からは説明会後、噴火後2時間程度で溶岩流が市街地に到達する想定への反応が聞かれた。参加した自営業女性(56)は「2時間という短さに慌てる市民で混乱し、避難経路が確保できず(避難が)間に合わなくなる可能性があるのでは」と指摘。病院職員の渡辺雅人さん(41)は「2時間の早さは怖いが、噴火の予兆が分かれば避難準備ができる。住民が予兆の情報を入手できるかが重要だと思う」と話していた。
山梨を含む各県などでつくる富士山火山防災対策協議会が改定したハザードマップでは、昨年の中間報告で従来の想定より10時間早い2時間程度で市街地に溶岩流が到達することが判明。3月の改定では中・大規模噴火時に都留市までだった従来の想定を超えて大月、上野原市にも到達すると公表されている。
(2021年5月23日付 山梨日日新聞掲載)