6年前の「導入」提言一転
「電気バス 技術が進歩」
富士山登山鉄道構想に反対姿勢を示した富士五湖観光連盟は、2015年に登山鉄道構想を提言しており、対応を一転させた格好だ。連盟は電気バスの技術の進歩などを挙げ、“路線変更”の正当性を説明。県有地問題を巡る長崎幸太郎知事の対応に関連し、一部県議には「富士急行側の政治的意図が絡んでいる」と見る向きもあるが、連盟は「構想への反対は理事会で決定したことだ」と否定する。
連盟は15年、将来的な富士山の環境保全や観光のあり方を模索し、当時は技術的に実現が不可能とされていたため電気バスではなく、登山鉄道の導入を提言。21日の堀内光一郎会長の発言では、LRTの導入に否定的な考えを示し、「電気バスの技術の進歩など当時と状況が変わった」と理由を説明した。登山鉄道構想に反対の意思を示す富士吉田市の堀内茂市長は「連盟が市と同じ方向を向いてくれたことは心強い」と話した。
これに対し、長崎知事は同日、記者団の取材に「富士急行は登山鉄道構想を最初に打ち立てたと思う。方向性が間違っているというのはどういうことか」と指摘した。
県議からは県が富士急行に貸し付ける山中湖村の県有地の賃料を巡る問題が影響したとの指摘も。自民党県連所属の県議の一人は「県有地を巡って県と富士急行の対立は深まっている。少なからず影響はあるはずだ」と指摘する。
一方、堀内光一郎会長は「今回の発言は富士急行の社長ではなく、連盟の会長として(の発言)。登山鉄道構想を最初に提言した立場でもあるので、責任を持って現在の連盟の考えを表明した」と述べ、構想への反対は連盟全体の判断であることを強調した。
(2021年5月22日付 山梨日日新聞掲載)