2021.4.15

検温「5、6合目より麓で」

富士吉田市長、登山鉄道重ねて反対

 今年の富士山登山シーズンの新型コロナウイルス感染防止策として、県が5、6合目で検温を実施する方針を決めたことについて、富士吉田市の堀内茂市長は12日の会見で「不十分。水際となる麓で対策することが大事だ」と否定的な見解を示した。

 堀内市長は「5、6合目で発熱などの感染が疑われる人が出た時点で、すでに富士山で大勢の人が接触していることになる」と指摘。その上で「5合目から麓の病院に搬送する間にも接触者は増加する」とし、麓での検温や体調確認が重要だとの認識を示した。

 麓での対策の一例として「麓にゲートを設け、健康状態が確認できた人にチェックカードを配布して5合目に通す」との案を示した。

 富士山でのコロナ対策を巡り、県は3月下旬に山小屋や地元自治体関係者らと開いた会議で5、6合目での検温を実施する方針を示し、対象者については「できるだけ多くの人」とするにとどめた。

 堀内市長はこのほか、富士山の麓と5合目を結ぶ「富士山登山鉄道構想」にも言及。3月下旬に富士山有料道路(富士スバルライン)で確認された土砂と積雪が流れ出す「スラッシュ雪崩」(雪代)に触れ、「もし鉄道が通っていたら復旧にどれだけ時間がかかるか分からない」と指摘。「富士山に登山鉄道の必要性はない」と改めて構想への反対姿勢を示した。

(2021年4月13日付 山梨日日新聞掲載)

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