雪代で「ブル道」被害
5~6合目 復旧めど立たず
富士山で3月下旬に発生した土砂と積雪が流れ出す「スラッシュ雪崩」(雪代)で、山小屋に資材を運ぶブルドーザーが使う道(通称・ブルドーザー道)が5~6合目で被害を受け、通行できなくなっていることが9日、富士山吉田口旅館組合への取材で分かった。復旧のめどは立っていない。
組合によると、5合目の「佐藤小屋」近くのブルドーザー道で、山小屋関係者が3月23日に被害を確認。幅約5メートルの未舗装のブルドーザー道が200メートルほどにわたってスラッシュ雪崩の被害に遭い、道が完全に埋もれた。
富士山では同21日に大雨となり、22日に富士山有料道路(富士スバルライン)でスラッシュ雪崩の被害が確認された。スバルラインは石楠花橋に亀裂などの損傷が見つかり、通行止めとなっている。
ブルドーザー道の復旧には土砂や雪などを重機で撤去する必要があるが、スバルラインが通行できないため、現場まで重機が入れず、復旧の見通しも立っていない。
今年は新型コロナウイルス対策で、早めに山に登り、山小屋の改修に乗り出す動きが出ていた。寝室に仕切りを設けるなどの作業を予定した7合目の山小屋経営者は「遅くとも6月初旬までには資材を山小屋に運ばないと工事が間に合わない。開通の見通しが立たず不安」と話した。
組合の中村修組合長は「まずはスバルラインの迂回路の設置が必要。できるだけ早めに対処して遅くとも6月中旬までにはブルドーザー道も開通させたい」と話している。
スバルラインは県が迂回路を設置し、ゴールデンウイーク前を視野に開通を目指す方針を明らかにしている。
(2021年4月10日付 山梨日日新聞掲載)