2021.4.02

富士登山 5カ所で検温

 山梨県は3月30日、今夏の富士山の開山に向け、山小屋や地元自治体の関係者らと会議を開き、新型コロナウイルス対策として5、6合目で登山者への検温を実施する方針を示した。過去2週間以内の感染者との接触の有無なども確認し、体調不良と判断すれば登山の自粛を求める。一方、山小屋の感染対策として、客室では1人当たり2畳か90センチ以上の間隔を確保し、パーティションなどで遮断するなどの基準も示した。

 県は昨年12月の会議で今夏の開山期間を7月1日~9月10日とすることを決め、地元自治体などが開山に向け準備を進めている。

 検温は強制ではなく、協力を呼び掛ける。5合目の富士山保全協力金(入山料)の徴収所やインフォメーションセンター、6合目の協力金徴収所など5カ所で、スタッフが非接触型体温計で検温するほか、基礎疾患や過去2週間以内の感染者との接触の有無を確認。体調不良と判断した場合は登山の自粛を促す。

 検温による混雑を避けるため、県のホームページからダウンロードした文書に体温や感染者との接触の有無などを記載し、スタッフに提示した場合は検温を受けなくても入山させる。文書は4月中に作成するという。

 一方、山小屋の感染対策の基準は、県と富士山吉田口旅館組合、富士吉田市が策定。フロントやロビーで来館者の間隔を1メートル以上確保するほか、2方向の窓を全開にして30分に1度、5分程度換気することなどを盛り込んだ。宿泊者に発熱などの体調不良が確認された場合、隔離スペースで待機させるよう求める。

 また、富士山有料道路(富士スバルライン)のマイカー規制期間中(7月20日~8月31日)の対応として、県立富士北麓駐車場から5合目までシャトルバスを運行する富士急行に対し、乗車前の検温と手指消毒の協力を要請する。5合目に乗り入れる全国約260の旅行業者や交通事業者にも体調不良者の乗車自粛を求める。

 富士山は昨年夏、新型コロナウイルス感染症の影響で山梨、静岡両県が管理する全ての登山道を閉鎖し、山小屋や救護所も休業した。県世界遺産富士山課の信田恭央課長は「マナーの周知と同時に感染対策を徹底することで登山者に安心して訪れてもらいたい」と話している。

県が示した主な新型コロナウイルス感染症防止策 
・5、6合目での検温や体調確認の実施
・体温などを記載した事前確認書の提示
・旅行会社や交通事業者への協力要請
・団体での山小屋利用は代表者が手続き
・山小屋の就寝スペースは2畳か90センチ以上の距離を確保

(2021年3月31日付 山梨日日新聞掲載)

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