2021.3.26

富士山で複数の雪代

大沢崩れ、砂防施設に土砂流入

 鳴沢村の富士山5合目付近に位置する大沢崩れで21日、積雪が土砂と一緒に流れ出す「スラッシュ雪崩(雪代)」が複数回発生していたことが23日、国土交通省富士砂防事務所への取材で分かった。土砂は富士吉田市内や静岡県富士宮市内の砂防施設に流入したが、下流域への被害はなかった。気温の上昇で雪代が発生しやすい状況にあるとして、事務所は注意を呼びかけている。

 事務所によると、スラッシュ雪崩は21日正午ごろから同午後4時ごろにわたって、鳴沢村の大沢崩れ上部で発生。同2時ごろ、土石流は富士吉田市上吉田の砂防施設「富士山宮川堰堤工」に流れ込んだという。流入した土砂の量は約5千立方メートルだった。

 静岡県富士宮市内の富士山大沢川上流では、21日午後3~4時の1時間に最大31ミリの降雨があったという。降雨で雪が解けて、スラッシュ雪崩が発生したとみられる。同市内では、標高約1500メートルの大滝観測所や標高約900メートルの岩樋観測所の監視カメラが、土石流が流れる様子を捉えた。

 事務所がスラッシュ雪崩を観測したのは2018年3月以来。事務所は富士宮市内の土砂について、ドローンで土砂量の調査を続けている。

 事務所調査課の担当者は「規模が大きいスラッシュ雪崩の発生はここ数年はなかったため、たまっていた土砂が流れた可能性がある」と話している。

(2021年3月24日付 山梨日日新聞掲載)

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