富士山鉄道、 往復1万円
県構想案、年300万人見込む
山梨県は2日、富士山の麓と5合目を結ぶ「富士山登山鉄道」の構想案を公表した。往復料金を1万円とした場合、年約300万人の利用を見込み、「事業として成立する」とした一方で、事業の枠組みの検討など実現には多数の課題があることも明記した。事業化の目標時期は盛り込まなかった。来週に開かれる有識者検討会の総会で構想案が決定すれば、県は地元の市町村や関係団体などとの意見交換に入る。
構想案では、富士山有料道路(富士スバルライン)上に次世代型路面電車(LRT)を敷設することが、5合目への交通手段として「最も優位性が高い」とした。整備費は約1400億円で、事業主体は民間を想定。往復料金を1万円とした場合で年間300万人が利用するとして、「事業成立の可能性が高い」とした。
ただ、構想案は、事業の運営方法や運営事業者の決定、関係法令への対応、厳冬期の登坂・制動性能の検証、噴火時の危機管理など、さらに検討が必要な課題があることも指摘。この日行われた県議会への説明でも、県の担当者は「相当大きな課題がたくさんあることが分かった」とした。
「地元と対話しながら慎重に検討を進めなければならない」(担当者)として、事業化の目標時期も盛り込まれなかった。
検討会の総会は8日に東京都内で開催される予定で、構想が決定される見通し。担当者は「構想の決定で、何かが決まるものではない。地元と緊密に意見交換する必要があり、構想はそのたたき台という位置付け」と説明した。
構想の決定後、県は地元市町村や静岡県、関係団体などに対し、構想を説明して意見交換する。来年度には、専門家による事業化検討委員会を設け、構想で示した課題の解決に向けた具体的な検討に乗り出す。
(2021年2月3日付 山梨日日新聞掲載)