自作の絵本アニメ化
富士河口湖・前田さん、桃太郎と富士山題材 制作費募り上映会めざす
テレビアニメ「まんが日本昔ばなし」の作画を長年務めた富士河口湖町船津の画家前田康成さん(71)は、大月市に伝わる桃太郎伝説と富士山を題材にしたオリジナル絵本「約束」のアニメ制作を進めている。「創作活動の集大成」としてほぼ全ての作画を前田さんが担当。完成後は町内で上映会などの開催を目指す。現在はインターネットで制作費も募っている。
前田さんの絵本「約束」は、仕事場としている町の観光施設「西湖いやしの里根場」を訪れる外国人観光客に和風の作品に触れてもらおうと、2018年9月に自費出版した。富士山に宿るとされる神「コノハナサクヤヒメ」と約束を交わした桃太郎の活躍で、鬼ケ島が富士山へと変わるまでを、独特のタッチで描いている。
初版3千部を同施設で販売したところ、外国人観光客を中心に人気を集め完売。「古希の節目に集大成となるアニメ作品を作りたい」と、売り上げを基にアニメの制作に着手した。
アニメの本編は20分間。ほぼ全ての作画を前田さんが担当し、身延町の西嶋和紙に墨と朱墨で絵を描いている。背景画やCG演出は、テレビアニメ「まんが日本昔ばなし」の作画を共に務めた当時の同僚や知人に依頼した。今夏の完成が目標。完成後は町内で上映会を開いたり、県内の公共施設で放映してもらうことを検討している。
ただ新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大し、絵本を購入してくれていた外国人観光客が減少。制作費が不足するようになったため、昨年12月27日からクラウドファンディングで募り始めた。250万円を目標とし、2月4日まで受け付ける。
前田さんは「未来に花を咲かせた花咲かじいさんのように、僕も手書きの味わいのある作品を後世に残したい」と話し、現在は自宅の作業部屋で黙々とクライマックスシーンを描いている。
(2021年1月20日付 山梨日日新聞掲載)