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2018.5.09 所属カテゴリ: 山日紙面で見る富士山 / 5月 /

富士山ろくに美化の輪 山梨・静岡 県境を超え連携

 世界に誇れるきれいな富士山を後世に残そう-。8日、富士山地域美化推進会議が発足したことを受け、環境庁、山梨、静岡両県の構成団体のメンバーは一様に「歴史的な日を迎えた」と感想を述べ、富士のすそ野に広がる環境美化の輪に期待感を強めた。本年度事業のメーンで初の試みとなる「富士山一斉清掃デー」は8月18日。美化活動に先駆的に取り組んできた「財団法人富士山をきれいにする会」(小林茂理事長)など民間団体の清掃活動もこの日に合わせて行われる予定で、国立公園指定60周年を迎えた富士山の環境美化キャンペーンは県境を超え一気に盛り上がる。

 推進会議の初代議長に就任した国立公園協会の日下部甲太郎理事長は、設立総会で「山梨、静岡両県の垣根を超えた団体の設立は、富士山の歴史上、大きな意味を持つ。将来に向けて何をすべきかを考え、一歩一歩着実に前進していくことが大切だ」と呼び掛けた。

 27の構成団体のメンバーからは、従来、個別に美化活動に取り組んできた経緯を踏まえ、「1人が2人に、2人が3人になることで活動に拍車が掛かる。美化意識を全国に広めるためのワンステップだ」などと、船出を歓迎する声が相次いだ。

 推進会議の事務局となる南関東地区国立公園・野生生物事務所の渡辺浩所長は「官民一体となった取り組みは、画期的だ。登山者など富士山を利用する側の美化意識の改革に向け大きな力になる」と波及効果に期待した。

 設立総会に出席した県観光課の雨宮文男課長は「日本のシンボルを守ろうという同じ目的を持った団体が、同じ舞台で活動することは意義深い。富士山を見直すいい機会だ」と強調。

 静岡県環境局の川崎順二局長は「従来の個別の対応では、地元へのアピールに終わってしまう心配があった。これからは呼び掛けが全国に広がる」と胸を張った。

 1962年から富士山の清掃活動や植樹、環境保全運動を繰り広げている「財団法人富士山をきれいにする会」も「富士のすそ野から頂上までクリーン作戦が徹底されることを期待したい」と喜びを表している。

 同会は今年で35回目を迎えるクリーン作戦の前期日程を、一斉清掃デーに合わせて実施する方向で検討、17日の理事会で正式に決定する。

 推進会議は今後、一斉清掃に向け、ごみ袋の作製や仮設ごみ集積所の設置などについて協議する。【当時の紙面から】

(1996年5月9日付 山梨日日新聞掲載)
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