富士山頂にやっと歓声 吉田口登山道、規制を解除
台風7号による土砂崩れなどで通行止めとなっていた富士山吉田口登山道の6合目以上について県は5日、復旧状況の調査を行い「通行の安全が確認できた」として規制を解除した。通行止めは1日の山開き以来続いていたが、県の当初の予定よりも5日早く、山頂までの登山が可能となった。登山者や観光関係者の間では早期の規制解除を歓迎する声が上がる一方、「10日までの客を断ってしまった」と県の見通しの甘さを指摘する声も出ている。
県道路維持課によると、同日早朝から静岡県が、須走口登山道と吉田口登山道が合流する8合5尺付近から山頂にかけてパトロールを実施。登山道に残雪がなくなったため、午前6時に通行止めを解除した。また、6合目から8合5尺までの吉田口登山道も、路面の浸食部分の穴埋めなどの復旧作業が終わり、通行の安全が確認できたとして午後1時に通行止めを解除した。
同課は石積みなどの崩落個所では、引き続き復旧作業が行われるため、登山者に注意を呼び掛けている。
仙台市から親子3人で登山に来ていた自営業男性(55)は6合目で「4日、山梨に着いて登山道の通行止めを知った。行けるところまで登ろうと思っていたが、山頂まで行けることになり良かった」と話していた。
地元の富士吉田市商工観光課も「待ちに待った山頂登山が可能になり、本当の山開きとなった」と喜んでいた。
一方で、山小屋関係者などからは「県が10日まで通行が禁止になると言うので、10日までの予約客はすべて断ってしまった。5日早く開通しても断った客は帰ってこない」と、県を批判する声も出ている。
登山道は6月26日の静岡県との合同調査の結果(1)8合5尺以上には30-50センチの残雪がある(2)5-8合目については土砂崩落や雨水による浸食が多い-として、5合目以上を全面通行止めとし、登山道の復旧作業を急いでいた。同30日には、6合目の安全指導センターまでの通行ができるようになっていた。【当時の紙面から】
(1997年7月6日付 山梨日日新聞掲載)