富士山登下山道に台風のツメ跡 指導センター運営協調査 33カ所で崩落、浸食 夜間登頂自粛も検討
県や富士吉田市、観光業者などで組織する富士山安全指導センター運営協議会は6月24日、7月1日の山開きに備えて登下山道調査をし、台風7号による崩落、浸食個所が多数あることを確認した。同協議会は調査後、緊急会議を開いて対応を協議。「山開きには支障がない」としたものの、「8合目以上の夜間の登山は危険が残る」と指摘。山頂付近の夜間登山については復旧作業の進み具合をみながら、注意や自粛の呼び掛けを検討することを決めた。
登下山道調査には、県や市、富士吉田署など関係機関から22人が参加。5合目の佐藤小屋から山頂までの吉田口登山道と下山道を中心に調べた。登山道では、確認した範囲で石垣、土砂の崩落(押し出しを含む)が18カ所、雨水による路面浸食が15カ所あった。下山道では、案内板が破損するなど26カ所で修復が必要であることが分かった。
登山道の浸食は深さ60―70センチで、8合目付近に集中している。浸食は台風7号による大量の雨と、雨による雪解け水で発生したものとみられる。8合目の山小屋関係者の話では「台風7号が通過した20日、現場では雨、雪解け水が滝のように流れ落ちていた」と話している。
また6合目・富士山安全指導センター付近では、登山道が長さ約10メートルにわたり浸食、崩落している。近くにある落石防止シェルターも大量の土砂で埋まっている。
一方、残雪は9合目から山頂まで50―100センチあることを確認したが既にシャーベット状で、調査担当者らは「山開きまでには支障はなくなるだろう」と予測している。
同協議会は「例年に比べて登山道のコンディションは悪い。重機の使用や人力で復旧作業を急ぎ、山開きまでには安全を確保したい」としている。28日には山梨、静岡両県が合同で再度、登下山道のパトロールを行う。
一方、大規模な崩落で通行止めとなっている県営富士山有料道路も28日の開通を目指し、復旧作業を急いでいる。 【当時の紙面から】
(1997年6月25日付 山梨日日新聞掲載)