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富士山世界文化遺産・構成資産『須走口登山道』

 静岡県小山町。富士山東側の山麓に位置する冨士浅間神社(静岡県小山町)からスタートし、須走口8合目で吉田口登山道と合流して山頂に至る登山道。その旧6合目(現7合目)で出土した、円形の銅板上に半肉彫りの鋳像を付けた懸仏は、刻まれた銘から1384年という年が読み取れ、現存最古の富士山への奉納物とされている。

 古くから富士登拝が行われた痕跡が残る登山道は、1300年代以降も多くの人が足跡を残した。「勝山記」の記述では1500年ごろにも道者が集中。1707年の宝永噴火で被害を受けたが、翌年には早くも復興し、富士講信者が登拝するようになったとされている。

 17世紀には既に、冨士浅間神社と所在地の須走村が登山道の山頂までを支配したという記録も残る。山頂部分の散銭取得権をめぐり、富士山本宮浅間大社と争いになり、須走村は江戸幕府に権利を認められたという歴史の一幕を今に伝える貴重な登山道となっている。
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