登山までの準備
●「持久力」「心肺能力」「脚力」をつける
富士登山では往復で10時間以上歩き続ける。まずは歩き続けるために必要な「持久力」「心肺能力」「脚力」を鍛えよう。持久力・心肺能力はジョギングやウオーキング、自転車や水泳などの有酸素運動で、脚力は踏み台昇降やステッパーなどで鍛えられる。ふだん運動の機会が少ない人は、とりあえず歩くことに努めよう。階段での上り下りを心がけるだけでも違ってくる。
“長時間歩くことに慣れる”ということで、登山の日までに体力と時間に余裕があれば、軽登山もおすすめ。高尾山のようなショートカットコースやロープウェイなどで下山できる観光地の山から始めよう。
数回登ったら、次に初心者向けコースの登山(行程のタイムが2~3時間に想定されたもの)、日帰り5時間コースの登山、の順でチャレンジするとよいだろう。カルチャースクールの登山教室に行くのも手だ。
●登山スケジュールを立てる
まずは登山日を決めよう。そして登山口までの交通手段と所要時間、登山行程を書き出して、全体の時間の流れを把握する。平日登山と週末・お盆休みの登山では、タイムスケジュールが大きく異なる。
それから細かな時間配分を。登山前後の時間には空き時間を作る、グループ内で一番体力に自信がない人のペースを基準に計画する、などが登山成功のコツ。登山中に適宜な休憩時間を盛り込むことも忘れないように。
なお、富士山ではいわゆる“弾丸登山”=夜間、5合目から睡眠をとらずに一気に山頂を目指す日帰り登山(0泊2日)は山梨、静岡両県が「登山者自身の病気やけがの原因になるとともに、さらなる登山道の渋滞を招き、登山の安全を損なう恐れもある」として自粛を呼び掛けている。1泊2日以上の余裕をもったスケジュールを立てよう。
●山小屋・登山ツアー・交通機関を予約する
日程が決まったら山小屋へ宿泊の予約を。週末は大変混雑し満室になりやすいので、お早めに。また吉田口の山小屋は金・土曜日の宿泊は完全予約制となっている。
旅行会社などが企画する、富士登山ツアーを利用するのもひとつの手段。個人的な山小屋予約が満室でも、ツアーには山小屋の宿泊が含まれているコースが多数あり、週末でも宿泊登山が可能な場合がある。
なお交通機関では、高速バスなど事前予約が必要なものもある。こちらもお忘れなく。
●装備品・携行品を準備する
富士山は夏山でもしっかりとした装備が必要だ。特に、靴や服装などの装備品は時間の余裕があるうちに用意しよう。細かな携行品も含めてチェックリストを作り、不備がないようにしよう。購入は、専門の知識を備えた店員がいる登山用品店がおすすめだ。店員に自分の登山経験や富士山に登りたいこと、予算を伝え、相談した上で自分に最適なものを見つけよう。
新たに登山用品を購入するのはちょっと…とお考えの方は、最近人気のレンタルが便利。富士登山初心者を対象に、ザック、登山靴、レインウエア、ヘッドランプ、ダウンジャケット…など、新規に購入するれば数万円かかるものも、1泊2日を想定した数千円からの登山セットなどを扱うレンタルショップが、富士山の玄関口・富士吉田市や富士河口湖町にある。
直接店内で選べるほか、インターネット予約、事前宅配サービスなどもある。予約が多いとレンタルできないこともあるそうなので、こちらもスケジュールが決まったらお早めに。