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2022.5.15 所属カテゴリ: 富士山噴火に備える / 防災キーワード /

富士山火山噴火緊急減災対策砂防計画(対策編)

 国土交通省中部地方整備局富士砂防事務所と山梨、静岡両県が2018年3月、富士山噴火に伴う土石流や溶岩流に備える砂防対策を盛り込んだ「富士山火山噴火緊急減災対策砂防計画」の対策編を策定。山梨県側では、県が土石流危険渓流に指定している15の沢や川の下流域に、国の直轄事業として砂防えん堤などを整備する。

 対策編は、噴火時に対策が必要な災害として(1)降灰後の土石流(2)融雪型火山泥流(3)溶岩流-を想定。被害を最小限に抑えるためのハード、ソフト両方の対策を明記。

 ハード対策として、鳴沢村の10渓流、富士吉田市の4渓流、山中湖村の1渓流の下流域に、土砂をせき止めるえん堤と、せき止めた土砂を堆積させる沈砂地を整備。設置場所は、おおむね東富士五湖道路より富士山側になる見通しで、今後具体的な測量調査などを行う。

 また緊急時に備えて、富士山麓の円周地域に土石流をせき止める大型コンクリートブロックを備蓄。想定される噴火口が分かった段階で仮設の導流堤やえん堤を設ける。

 ソフト対策では、緊急時に土石流の監視機器などを設置。ハザードマップ(危険予測地図)などを活用して溶岩流の到達時間や範囲を予測し、関係機関に迅速に情報提供する。

 国交省は富士山の噴火対策として、2015年12月に、富士山噴火に伴う土石流や溶岩流に備える砂防対策を盛り込んだ「富士山火山噴火緊急減災対策砂防計画」(基本編)を策定している。

 富士山火山噴火緊急減災対策砂防計画について、噴火対策の砂防設備を設ける山梨県側の15カ所のうち、2022年6月をめどに富士吉田市内の沢で1カ所目を着工することを国土交通省が発表。降灰後の土石流をせき止めるえん堤などを設ける事業で、5~7年後の完成を想定。国が山梨県側に噴火対策の砂防設備を設けるのは初めて。

 砂防設備を設けるのは富士吉田市上吉田の浅間沢。東富士五湖道路と県道富士上吉田線に近い麓で、土砂をせき止めるえん堤と、せき止めた土砂を堆積させるスペース(約2万5千平方メートル)を整備。事業費は十数億円となる見込み。

 浅間沢では降灰後に土石流が起き、麓の市街地などに大きな被害をもたらす恐れがあることから、優先して砂防設備を設けることにした。残りの14カ所の着工時期は未定。

 5月28日に、整備箇所近くの県富士山科学研究所に国交省や市などの関係者が集まり、着工式を行う。実際に工事が始まるのは早くて6月中という。

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