富士山のランドマークだったレーダードームは今どこに
富士山頂の気象レーダーは1964年に建設され、正式に運用が始まったのが1965年3月10日。最大探知距離800キロ(雨滴高度1万メートルとして)という世界最大の気象レーダーは、1999(平成11)年11月1日午前10時に静かにその役目を終え、35年間の歴史に幕を閉じた。主な任務の台風観測は、1977(昭和52)年に気象衛星ひまわりに受け継がれ、残された雨量観測などの役割は、長野県の車山や静岡県の牧ノ原台地に設置された気象レーダーが引き継いだ。
富士山気象レーダーは、2000年3月に世界的に権威のある米国の電子電気学会(IEEE)マイルストーン(道標)と呼ばれる記念プレートが贈られた。日本では八木アンテナに続く2例目の快挙だった。
16面体のレーダードームは観測所の屋根になっていたため、しばらくそのまま使用されていたが、2001年9月に取り壊され、富士吉田市が内部の機器ともども引き取った。富士山気象レーダードームの引き取りをめぐっては、富士吉田市と静岡県御殿場市が誘致合戦を展開したが、気象庁は富士吉田市を選択。体験学習施設「富士山レーダードーム館」として、同市新屋の地域活性化エリア内にある「リフレふじよしだ」内に設置されている。
1階に富士山を題材にした小説も多い作家の故新田次郎関連の展示や富士山レーダーの歴史を紹介する展示、2階に富士山での気象観測に関係する展示、3階の屋上展望台にレーダードームを展示している。施設は2004年4月にオープンし、富士山の気象や観測の歴史が体験、学習できる新スポットとして人気を集めている。
2001年8月、役目を終えたドームの解体作業が行われた | 富士吉田市にある富士山レーダードーム館 |
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