富士山はどこから測って3776メートル
国土地理院が公表している富士山の高さは3776メートル。山頂の火口を囲む火口壁に8つのピークがあるが、その中で南西部に位置する最も高い剣ケ峰の高さがそれに当たる。
厳密に言うと、剣ケ峰にある気象庁の富士山測候所近くの2等三角点の測定結果は3775.63メートル。しかし、この三角点の北にある岩のほうがやや高く、ここが3776.24メートル。どちらも四捨五入すれば3776メートルなので、富士山の高さは3776メートルで通っている。
富士山頂を極めるというのは、厳密には富士山測候所がある剣が峰に行かないと山頂を踏んだことにはならない。山梨県側の登山道から頂上に出ると、火口のほぼ反対側に見えるピークがそれである。頂上をぐるりと巡る「お鉢巡り」で剣が峰へ。山頂までは、もうひと頑張りとなる。
ところで、一般的に高さというのは、海抜高度のことで海からの高さで表している。特定地点の海抜高度のことを標高と呼ぶ。もっとも海は潮汐があるのでいつも一定ではない。そこで、海洋の表面を含みかつ地表のあらゆる地点で重力の方向と垂直に交わる滑らかな球体(ジオイド)を想定し、その面に降ろした垂線の長さをその点の海抜高度にしている。ジオイド面を決めるには、数カ所の海岸に設けた検潮儀から平均の海面高度を求め、これを水準測量によって陸地内部に延長して決める。
日本各地の海抜高度は、東京湾の霊岸島にあった検潮所で1873年から79年まで東京湾の平均海面を測定し、その結果求められた海面高度を「東京湾中等海面」とした。この「東京湾中等海面」から起算して現在の東京都千代田区永田町1―1、国会議事堂前の憲政記念館庭に1891年に水準原点を設け、この高度を24.4140メートル(最初は24.500メートルだったが、関東大震災によって下がった)と決めた。日本各地の標高はすべてこの水準原点によっている。つまり、富士山の高さは東京湾の平均の海面からの高さとなる。簡単に言えば、国会議事堂前の水準原点から順次測って決めている。
富士山頂。富士山測候所(左)、浅間大社奥宮(中央下)、 山梨県吉田口登山道(右)が見える。(2002年10月撮影) |