富士山夏山シーズン中の登山者数
1981年に山梨県が富士山吉田口登山道6合目に開設した、富士山安全指導センターは毎年、夏山シーズン中の山梨県側の登山者数(同センター前通過人数)を24時間体制でカウント、集計している。
それによると、最も多かったのは2010年の25万9658人で、それまで最多の2008年を1万2592人上回り、初めて25万人の大台に乗った。この年、登山者が増えた要因について富士吉田市富士山課では、(1)週末を中心に天候に恵まれた。(2)山小屋の環境配慮型トイレ設置や宿泊環境の改善などで女性が登山しやすい環境になり、若い女性の登山が増えた。(3)全国的な猛暑で避暑目的で山頂を目指すケースもあった。-などの要因が重なったと分析。
逆に、1993年は富士山有料道路(富士スバルライン)の土石流災害復旧工事に伴うマイカー規制や残雪による登山道規制、週末の悪天候などが重なり、開設以来最少となっている。
近年は、吉田口登山道を麓から登る人々も年々増加している。1合目手前の馬返しから6合目までの登山道に加え、登山道の起点である北口本宮冨士浅間神社から馬返しまでの遊歩道を整備。また1997年からはシーズン中、馬返しに休憩所と案内所を兼ねた富士山「お休み処」が設けられ、さらに2011年からは、富士登山の玄関口である富士急行線富士山駅と馬返しを結ぶ「馬返しバス」が設定されたこともあって、自然や史跡を散策しながらのんびりと山頂を目指す、スローライフに沿った富士山の楽しみ方が人気を集めているという。
2020年は、登山客の密集による新型コロナウイルス感染を防止するため、山梨、静岡両県の4登山道すべてが閉鎖されたため、登山者数の記録はなし。
2022年の登山者数は11万5025人で、過去最少の2021年(6万5519人)を4万9506人(75.6%)上回った。一方、コロナ禍前の2019年(18万5807人)より7万782人(38.1%)下回った。
富士山・山梨県側の登山者数 (単位:人) | |||||||
年 | 登山者数 | 年 | 登山者数 | 年 | 登山者数 | ||
1981 | 110,400 | 1999 | 144,827 | 2017 | 223,800 | ||
1982 | 90,500 | 2000 | 163,924 | 2018 | 196,674 | ||
1983 | 98,254 | 2001 | 139,560 | 2019 | 185,807 | ||
1984 | 160,720 | 2002 | 171,035 | 2020 | - | ||
1985 | 165,217 | 2003 | 150,804 | 2021 | 65,519 | ||
1986 | 200,060 | 2004 | 147,061 | 2022 | 115,025 | ||
1987 | 200,277 | 2005 | 141,472 | ||||
1988 | 161,447 | 2006 | 167,368 | ||||
1989 | 124,108 | 2007 | 194,007 | ||||
1990 | 182,518 | 2008 | 247,066 | ||||
1991 | 196,475 | 2009 | 241,436 | ||||
1992 | 166,154 | 2010 | 259,658 | ||||
1993 | 80,614 | 2011 | 228,775 | ||||
1994 | 157,617 | 2012 | 246,616 | ||||
1995 | 159,950 | 2013 | 232,682 | ||||
1996 | 168,547 | 2014 | 208,328 | ||||
1997 | 156,844 | 2015 | 169,500 | ||||
1998 | 152,955 | 2016 | 214,726 | ||||
●吉田口(吉田コース)6合目富士山安全指導センター前通過記録。 | |||||||
●集計期間: ・1981年〜1999年=7月1日〜8月26日 ・2000年〜2013年=7月1日〜8月31日 ・2014年〜2015年=7月1日〜9月14日 ・2016年〜 =7月1日〜9月10日 |
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富士山安全指導センター調べ |
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一方、環境省でも夏山シーズン中の吉田口と静岡県側の須走口、御殿場口、富士宮口の登山道(登山ルート)4カ所の各8合目付近に赤外線カウンターを設置、通過した登山者数の実数集計を行っている(2004年は試行、2005年から本格稼働)。2012年は、山梨県側(吉田口)からの登山者数が過去最高の18万9771人に上った。2022年の全登山者数は16万145人で、統計を始めた2005年以降で最も少なかった2021年の約2倍になった。一方、コロナ禍前の2019年比では7万5501人(32.0%)少なかった。
富士山・登山道別 8合目以上の登山者数 (単位:人) | |||||
年 | 吉田口 | 富士宮口 | 須走口 | 御殿場口 | 合計 |
2004 | 109,000 | 55,000 | 28,000 | 6,000 | 198,000 |
2005 | 108,247 | 57,962 | 25,416 | 8,667 | 200,292 |
2006 | 119,631 | 61,611 | 30,536 | 9,232 | 221,010 |
2007 | 132,980 | 54,011 | 33,394 | 11,157 | 231,542 |
2008 | 172,369 | 64,034 | 44,848 | 16,624 | 297,875 |
2009 | 169,217 | 67,590 | 43,861 | 11,390 | 292,058 |
2010 | 184,320 | 78,614 | 48,196 | 9,845 | 320,975 |
2011 | 165,038 | 72,441 | 40,176 | 15,758 | 293,416 |
2012 | 189,771 | 77,755 | 35,577 | 15,462 | 318,565 |
2013 | 179,720 | 76,784 | 36,508 | 17,709 | 310,721 |
(同年9月) | 21,346 | 7,545 | 3,284 | 2,502 | 34,677 |
2014 | 170,947 | 59,771 | 31,626 | 15,150 | 277,494 |
2015 | 136,587 | 55,516 | 23,122 | 15,123 | 230,348 |
2016 | 151,969 | 58,090 | 20,277 | 15,339 | 245,675 |
2017 | 172,657 | 70,319 | 23,475 | 18,411 | 284,862 |
2018 | 150,845 | 18,828 | 26,696 | 11,792 | 208,161 |
2019 | 149,969 | 53,232 | 20,215 | 12,230 | 235,646 |
2020 | ー | ー | ー | ー | ー |
2021 | 54,392 | 11,409 | 6,411 | 6,336 | 78,548 |
2022 | 93,962 | 41,549 | 12,621 | 12,013 | 160,145 |
●各登山道8合目付近設置の赤外線カウンター記録。 | |||||
●集計期間: ・2005年〜2013年 7月1日〜8月31日。2013年は9月のみの人数も集計。 ・2014年〜2015年 7月1日〜9月14日(吉田口) 7月10日〜9月10日(富士宮口、須走口、御殿場口) ・2016年〜 7月1日〜9月10日(吉田口) 7月10日〜9月10日(富士宮口、須走口、御殿場口) |
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●2004年は概数(1,000人単位)。 | |||||
※カウンターの不具合や誤作動、天候不良などによる機器撤去による、 欠測期間の発生および数値補正が行われている年、登山道がある。 |
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環境省調べ |