2017富士登山者アンケート[3]
【ヘルメット】登山ヘルメット用意6%
山梨・静岡両県などがつくる「富士登山における安全確保のためのガイドライン」では、突発的な噴火災害や落石、転倒などに備え、ヘルメットや防じんマスク、ゴーグルの持参を推奨している。
「ヘルメットなどの噴火対策の装備は用意したか」という問いに対して「用意していない」が94.0%で、「用意した」6.0%を大幅に上回った。「用意した」は、同様の質問を始めた2015年が7.0%、16年が9.5%と低迷している。
東京都府中市の男性(60)は「富士山は通路が決まっていて落石が発生しやすい場所も分かっている」、千葉県印西市の男性(67)は「噴火の予兆がない」と回答。ヘルメットの必要性を感じないとの趣旨の理由が多数を占めた。
一方で、「あまり考えたことはなかった」などと答える登山者も目立ち、ヘルメットなどが富士登山の装備として浸透していない実情も浮かんだ。
また、噴火に対する意識を問う設問では、「いつかは噴火するが今はしない」が56.0%だった。御嶽山(長野、岐阜両県)噴火から、間もなく3年を迎えるが、噴火に対し楽観視する傾向がうかがえ、ヘルメットなどの安全装備の携行、装着につながらない一因になっているとみられる。
■富士吉田市のヘルメット貸与 知っていた6割、借りた0
富士吉田市が今夏、安全対策として6合目の安全指導センターで始めたヘルメットの貸与について、山梨県側だけ100人に聞いたところ、約6割の登山者が「知っていた・気付いていた」と回答したが、実際に借りた登山者はいなかった。借りなかった理由として、「今すぐ噴火しない」「けがのリスクは低い」などが目立ち、安全装備に対する意識の希薄さがうかがえる結果となった。
市は、登山者が落石や転倒などから身を守る手段としてヘルメットの着用を呼び掛けている。今夏から着用の普及促進などを目的に200個のヘルメットを用意し、7月1日から貸し出しをスタートした。
安全指導センターでの貸し出しは「知っている・気付いた」が61人いたが、実際に借りた人は0人だった。千葉県柏市の男性(49)は「けがの心配はない」、さいたま市の女性(32)は「すぐに噴火はしない」と回答。ヘルメットの必要性を感じていないことを理由として挙げた。
また、千葉県市川市の男性(37)は「荷物になる」などと、ヘルメットが登山する際に煩わしいとする意見も目立った。
ヘルメットを貸し出す際に1個当たり3千円を預かり、返却時に返す「デポジット制」を取っていることについて、横浜市の女性(31)は「手間がかかる」と回答。利用者の負担にならない貸し出し方法の検討も必要となりそうだ。
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