信仰をしのばせる石仏座像群
古くは信仰の山と知られた三ツ峠山。登山道の屏風岩の手前に、近郷の信者が文久年間(1861-63年)に祭った「八十八大師の石仏座像群」。
八十八大師は江戸時代末期の史跡。山梨県西桂町教委によると、88カ所の霊場を巡る四国遍路へ行けない人のため、88体の弘法大師像が祭られたことに由来する。現在は、風化などにより石仏の数は約80体に減少したが、登山者が参拝すれば四国遍路と同じ御利益が得られるとされている。
石材はこの付近では産出せず、遠方より運ばれてきたとみられ、信仰の深さが感じられる。中央に1塔にまとめた「遍照金剛八十八躰施主現当二世安全」の石碑が建ててある。
登山者に八十八大師に親しんでもらおうと、地域住民らが毎年赤い前掛けを製作、石仏に掛ける活動を行っている。現在は、前掛けを作ってきた町民有志が高齢のため活動を終了することになり、地域の伝統を残そうと、地元の西桂中学校の生徒が引き継いでいる。
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