富士山有料道路マイカー規制
山梨県の富士山有料道路(富士スバルライン)では、渋滞解消や車両の排ガスによる沿線の樹木の立ち枯れを防ぐなどの富士山の自然環境保護を目的に、1994年7-8月に夏季のマイカーの通行規制を初めて実施。以降、毎年夏山シーズンの一定期間行われ、バスやタクシーなど一部の通行可能車両を除き、一般車両の通行を規制。災害復旧工事のためのマイカー規制は1993年4月20日から10月31日まで行われたことがある。
現在は、富士北麓地域の市町村、観光団体などで構成する「富士スバルラインの適正利用と北麓観光振興検討委員会」で協議、調整して規制日・期間などを決め、県公安委員会が正式決定する。
スタート当初は富士山5合目の観光業者らが登山客や収入の減少を懸念して規制導入に反対する経緯があった。一方で地元には「規制を継続することで定着する」「環境保護に配慮しもっと規制日を増やすべき」と規制を歓迎する声もあり、当時の管理者・山梨県企業局が規制を継続実施する方針を示した。
規制区間は、料金所手前・胎内交差点-河口湖口5合目間の約24キロ。マイカー利用者は指定された駐車場に駐車し、バスやタクシーに乗り換え、富士スバルライン5合目へ向かう。
規制4年目の1997年は、静岡県側の富士宮口へ通じる富士山スカイラインと初めて同一歩調で行い、従来の「分散型」から観光客がピークを迎える盆を挟む「集中型」とし、以後2007年までは、毎年連続で10日間行われた。ただし2005年は、前年12月に起きた土砂崩れの災害対策工事もあり、規制期間が7月27日-8月31日までの連続36日間の長丁場となった。2008年から2010年は、登山者の増加を考慮して12日間行われた。
2011、12年は、7月の海の日を含めた3日間を新たに追加し、計15日間行われた。また、11年7月に東富士五湖道路富士吉田インターチェンジ東側に、富士山パーキング(山梨県立富士北麓駐車場)がオープンし、従来数カ所に分散していた駐車場が1カ所に集約された。
2013年は、富士山の世界文化遺産登録実現で、登山者の増加が予想され、環境の悪化も懸念されたことから、環境保護や入山規制を目的に規制期間を拡大。静岡県側の富士山スカイラインの規制延長(52日間)も受け、31日間実施した。
2014年の規制期間は、富士山の環境保全策をまとめた報告書を国連教育科学文化機関(ユネスコ)に提出する2016年を見据え、7月10日から8月31日までとする案を、県が富士北麓地域の市町村長に提示。その後、地元関係者でつくる検討委員会が県の案を了承したことを受け、53日間実施された。2015、16年も同期間で実施。
2017年から2019年は、過去最長の連続63日間(7月10日~9月10日)実施。一方で、電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)が規制対象外となり通行可となった。
2021年は、新型コロナウイルスの影響で、インバウンド(訪日外国人客)の回復が見通せないことを踏まえ、42日間に短縮して実施。2022年は、前年の規制期間前の週末に渋滞が発生したことを踏まえ、48日間に延長した。
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静岡県側では、富士山スカイラインに加え、2007年からは須走口へ通じる、ふじあざみラインでもマイカー規制が行われている。
2023年富士山有料道路マイカー規制
期間
2023年7月15日(金) 18:00~9月10日(日) 18:00 59日間
区間
料金所手前・胎内交差点―スバルライン5合目間の約24キロ
駐車場
富士山パーキング(富士北麓駐車場)
・駐車台数=1165台
・駐車料金=1000円(1台/1回)
5合目へのアクセス
(1)富士山パーキングにマイカーをとめる
(2)路線バス(ハイキングバス)、シャトルバス、タクシー(いずれも有料)に乗り換える
(3)スバルライン5合目到着
規制外対象車
・バス(乗車定員11人以上のマイクロバスを含む)
・ハイヤー、タクシー
・軽車両(原動機付きは規制対象)
・電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FCV)=富士山パーキングで確認証の交付を受ける
・指定車、許可車、下山車両
・身体障害者等乗車車両=身障者手帳または療育手帳または精神障害者保健福祉手帳が必要)
過去の規制日一覧
1994年 11日間 7月29日-7月31日、8月5日-8月7日、8月12日-8月16日
1995年 11日間 7月28日-7月30日、8月4日-8月6日、8月11日-8月15日
1996年 11日間 7月26日-7月28日、8月2日-8月4日、8月11日-8月15日
1997年 10日間 8月9日-8月18日
1998年 10日間 8月8日-8月17日
1999年 10日間 8月7日-8月16日
2000年 10日間 8月12日-8月21日
2001年 10日間 8月11日-8月20日
2002年 10日間 8月10日-8月19日
2003年 10日間 8月9日-8月18日
2004年 10日間 8月7日-8月16日
2005年 36日間 7月27日-8月31日
2006年 10日間 8月5日-8月14日
2007年 10日間 8月11日-8月20日
2008年 12日間 8月9日-8月18日、8月23日-8月24日
2009年 12日間 8月7日-8月18日
2010年 12日間 8月6日-8月17日
2011年 15日間 7月16日-7月18日、8月5日-8月16日
2012年 15日間 7月14日-7月16日、8月4日-8月15日
2013年 31日間 7月12日-7月15日、7月26日-7月28日、8月2日-8月25日
2014年 53日間 7月10日-8月31日
2015年 53日間 7月10日-8月31日
2016年 53日間 7月10日-8月31日
2017年 63日間 7月10日-9月10日
2018年 63日間 7月10日-9月10日
2019年 63日間 7月10日-9月10日
2020年 62日間 7月11日-9月10日
2021年 42日間 7月21日-8月31日
2022年 48日間 7月15日-8月31日