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2023.3.15 所属カテゴリ: 山日紙面で見る富士山 / 3月 /

観光版「ミシュラン」 富士山三つ星

日本編で最高評価 地元「世界遺産へ弾み」

 観光地を星印で格付けするフランスのガイドブック、ミシュランの観光版「ギード・ベール」日本編が完成し、富士山が最高評価の3つ星を受けることが分かった。レストランやホテルの格付け本として世界的に有名な「ミシュランガイド」での高評価に、富士北麓の観光業者らは「富士山に新たな勲章が増えた。世界文化遺産登録に向けても弾みになる」と歓迎している。ギード・ベール日本編は、16日にフランス国内で発売される。

 ギード・ベールは、旅先の歴史や文化にもスポットを当てた案内が特徴で、これまでフランス国内編や北アフリカ編などが発売されているが、日本編の発行は今回が初めて。三つ星の基準は「わざわざ訪れる価値のある場所」。富士山のほか、日光(栃木)、法隆寺(奈良)、姫路城(兵庫)など、既に外国人観光客にも人気のスポットに加え、沖縄・石垣島の川平湾などの名勝地も選ばれた。東京郊外のハイキングコースとして親しまれている高尾山も選定された。

 日本編作成に向けては、フランス人と日本人の12人で構成する編集チームが日本各地約200カ所を取材。日本文化の多様性にも視点を向けて、寺院の仁王像の由来や娯楽としてのパチンコなども調査したという。日本政府観光局(JNTO)からも情報提供を受けた。

 富士山の評価内容は明らかになっていないが、富士吉田市の関係者などによると、ミシュランのライターは昨年の5月上旬に取材で富士北麓を訪れた。吉田のうどんを味わったり、同市上吉田の御師の家「旧外川家住宅」などを視察し、富士山信仰の歴史についても調査したという。

 ライターの案内を担当した同市富士山課の職員は「信仰の対象としての富士山を知ってもらうことに主眼を置いてガイドした。富士山をあがめる日本人の気持ちが格付けに反映されていれば、世界文化遺産登録を目指す上でも自信につながる」と期待を寄せている。

 富士山のほか、富士北麓でライターが訪れた忍野八海や北口本宮冨士浅間神社、富士河口湖町内の美術館などにも何らかの評価が与えられる可能性があるという。

 河口湖畔の土産物店経営の男性は「日本一の富士山が三つ星というのは当然だが、さらに身近な所にも高い評価が与えられれば、観光地全体としても活気が出るだろう」と話している。

 今回発売の日本編はフランス語版だが、今年9月には英語版も刊行される。日本では洋書として扱われ、大型書店などで販売される見通し。 【当時の紙面から】

(2009年3月15日付 山梨日日新聞掲載)
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