県内各地で喜びの声
“山ガール”トレッキング、富士講リレー 記念の日盛り上がる 県内
富士山の世界文化遺産登録が決まった22日、北麓地域など山梨県内各地で喜びの声が上がった。
「世界遺産になる登山道の歴史を全身で感じることができた」。富山県射水市の永尾祥子さん(26)はこの日、構成資産に選ばれている吉田口登山道の1~5合目を登った。カラフルな登山ウエアに身を包んだ“山ガール”は「記念の年なので、次は山頂に立ちたい」と笑顔を見せた。
同じく構成資産の一つ、富士吉田市上吉田の北口本宮冨士浅間神社では、忍野村忍草の渡辺誠さん(32)と、静岡県三島市の後藤祐美帆さん(25)が結婚式を挙げた。2人とも霊峰を仰ぐ環境で育ち、出会いの場も富士山麓。渡辺さんは「登録の日と重なったのは偶然だが、ダブルでうれしい。一生の記念になった」と声を弾ませた。
一方、この日は山梨中央銀行の行員が、富士講者が歩いた道を徒歩でリレーするイベント「富士道をたどる」の最終日。2月23日に日本橋をスタートし、5回に分けて約130キロを歩いた。約150人が同神社にゴール、全員で万歳して世界遺産登録を祝った。
「お膝元」の富士吉田市も祝福ムード。同市大明見の会社員安里昌信さん(63)は「日本の象徴が世界のシンボルになった。地元も盛り上がる」。同市新屋の会社員中村あゆみさん(24)は「喜んでばかりはいられない。観光客が増えればごみが増える可能性もある。富士山の環境を守る活動につなげていくべきだ」と課題にも目を向けた。
JR甲府駅北口で登録決定の一報を聞いた、甲府市北新2丁目の主婦広瀬幸子さん(66)は「登録が決まって良かった。日常にあって当たり前の存在が、世界の富士山になった」と喜んでいた。 〈報道部、地域報道部〉
「登録の日に来られてうれしい」 外国人旅行者も笑顔
ツアーや個人旅行の外国人でにぎわう山梨県側の富士山5合目。各国の旅行者からも喜びの声が上がった。
ベトナムから仕事で来日中のブイ・フン・ディンさん(45)は、たまたま同様に仕事で日本を訪れ、休みも重なった妻と訪問。「世界遺産登録の日で、しかも晴れたという偶然がいくつも重なり、特別な日になった」と感想。「日本人にとって富士山は神様だと聞いたので、妻との愛が永遠に続くことを祈った。富士山を見ていると、上や将来を向いて歩いていこうという気持ちになれる」と話した。
シンガポールから来た陳秀菊さん(62)は、4回目の富士山訪問。「米国やカナダ、中国の世界遺産にも行ったが、富士山は自然がたくさん残っていて素晴らしい。登録の日に来られてうれしい」
仕事で日本に滞在中というチリ人のアルトゥーロ・ヴァイエさん(33)は「日本人が神社などをつくって大事にしている富士山には敬意を表したい。浮世絵などに描かれている富士山も好き。できれば一度登ってみたい」と話していた。 〈手塚美菜子〉
(2013年6月23日付 山梨日日新聞掲載)