2009.7.01
所属カテゴリ:
富士山世界文化遺産への道 /
富士山世界文化遺産への道(山梨日日新聞特集から) /
登録には“高い壁” クリアへ準備全力
9月に専門家招き方向性 構成資産候補も絞り込み
人々の心を動かしてきた富士山。世界の宝となる世界文化遺産登録に向けた山梨県の作業は“再スタート”を切った。「平泉の文化遺産」(岩手県)の落選例など、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の審査基準は厳しくなったとされる。立ちはだかる高い壁を乗り越えるため、準備にいっそう力が入る。
富士山の世界文化遺産登録に向けた本年度のスケジュールのうち、節目の一つになるのが9月に富士河口湖町で開く国際記念物遺跡会議(イコモス)の関係者を招いた国際専門家会議。イコモスはユネスコに各国が推薦する遺産候補の本登録に対する助言を行う重要な役割を担う。登録実現の鍵を握る専門家の富士山周辺の視察を通し、登録作業のアドバイスを得る。
県は昨年11月にも、ユネスコの専門家2人を山梨に招いた。県内の構成資産候補を視察した2人の助言を踏まえ、当初目標だった2011年からの延期を決めた経緯がある。県は今回も専門家の発言を注視し、登録に向けての進むべき方向性を見極める。
構成資産候補を抱える市町村では、保存管理計画づくりが進む。富士吉田市内の北口本宮冨士浅間神社、御師の家などで既に作業が完了、河口湖や山中湖など湖での策定作業も今後本格化する。
一方、県は構成資産候補の絞り込み作業にも着手。富士山の信仰・芸術的価値を証明する史跡や神社を検証することで県内資産候補37件を絞り込む方針だ。
県世界遺産推進課は「日本の至宝を世界遺産に登録するためには本年度の準備作業が大事。万全な準備を整え、来年度の推薦書原案提出につなげたい」としている。
(2009年7月1日付 山梨日日新聞掲載)広告