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2020.6.28 所属カテゴリ: ふじさんクエスト / 気象 /

日本一高い研究観測の拠点

 全国の研究者らで作る、NPO法人「富士山測候所を活用する会」が、富士山頂の剣が峰にある「気象庁富士山特別地域気象観測所」(旧富士山測候所)=写真=を活用して、“日本一高い研究所”で調査研究やプロジェクトに取り組んでいる。

 同観測所での気象観測は、自動観測技術の発達に伴い2004年に無人化された。一時は建物の解体計画も持ち上がったが、「貴重な高所科学の研究場所を残そう」と、研究者らが中心となって、2005年に同NPO法人を立ち上げた。

 2007年から気象庁から同観測所の施設を借り受けて運営。調査研究テーマを公募し、毎年7月から9月の夏山シーズン中、それぞれの研究グループが機材を持ち込んで、山頂で調査、実験など研究活動に取り組む。

 地球環境や生態学、高所医学などの分野で毎年20~30の調査研究を続けている。とりわけ、独立峰で円錐型の山頂の形状から、大気の流れを周囲の山などに左右されずに観測でき、大気化学の研究が盛ん。2019年には「大気化学」「高山病」「永久凍土」など42の研究が行われた。

 研究成果は毎年1月~3月に開かれる成果報告会で発表される。

 財団や企業の助成金のほか、研究機関・研究者による施設の利用料収入で運営される。

 2020年は、山梨・静岡両県のすべての登山道が封鎖されるため、研究者が山頂に立ち入ることができないため、研究・観測活動は中止される。

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