新種マリモ 甲府で発見
国立科学博物館が2022年11月11日までに、淡水魚を飼育していた山梨県甲府市内の民家の水槽から、国内で新種のマリモが見つかったと発表。山中湖などでこれまで確認されていた「マリモ」「タテヤママリモ」に次いで3種目。同博物館は本栖湖産の二枚貝に付着していた短い糸状の藻が球状になったとみて、「モトスマリモ」と命名。
同博物館によると、3年前、淡水魚の「タイリクバラタナゴ」を飼育する甲府市内の民家の水槽で、マリモに似た藻類が大量に発生しているのが確認された。調査したところ、一つの大きさは2~4センチ程度で、オランダの熱帯水族館や中国の河川などで見つかっているマリモ類の遺伝子配列と一致。これまで国内で報告がない種類という。
モトスマリモが見つかった水槽ではタイリクバラタナゴの産卵床として本栖湖産の二枚貝を使っており、貝に付着していた藻が球状になったとみられる。同博物館はモトスマリモの詳しい生態の解明に向けて、富士五湖で潜水調査を行う予定。
国内のマリモを巡っては、北海道・阿寒湖や山中湖で「マリモ」、山中湖などで「タテヤママリモ」の2種が確認されている。山中湖に存在する県天然記念物「フジマリモ」は、「マリモ」か「タテヤママリモ」と同じ種と考えられるという。
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「モトスマリモ」が発見されたことを受け、国立科学博物館は2022年12月、富士河口湖町の本栖湖と西湖で潜水調査を行った。モトスマリモは本栖湖から採取した貝から繁殖したとみられ、本栖湖由来なのか、湖で採取した藻の遺伝子を解析するなどして調べる。
植物研究部の辻彰洋研究主幹や地元のダイバーら4人が西湖に潜水。北岸から沖に約20メートル地点の水深13~14メートルに潜り、丸くなりかけていたり、貝や石などに付着したりしている藻を採取した。本栖湖でも検体を採取していて、今後、遺伝子を解析するなどしてモトスマリモとの関連を調査。
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国立科学博物館が2023年5月、「モトスマリモ」の由来を探る調査で、本栖湖などで昨年採取した藻類からは遺伝子は発見できなかったと明らかにした。2023年秋にも再度検体を採取し、調査する方針。
植物研究部の辻彰洋研究主幹らが2022年12月、本栖湖などで地元ダイバーとともに貝や石などに付着している藻類を採取。遺伝子の解析を進めていた。採取した藻類からモトスマリモの遺伝子が発見されれば、甲府で発見されたモトスマリモが本栖湖由来だという有力な証拠になる。これまで自然界では確認されていない。