文化遺産登録へ活動本格化
早期の資産リスト作成めざす
国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産登録を目指す「富士山」が暫定リスト入りし、山梨、静岡両県で、第2ステップとなる登録推薦に向けた準備が本格化する。両県は、富士山周辺の市町村が洗い出した富士山にまつわる文化財や行事などを基に、今月から学術委員会で富士山の価値を証明するための研究をスタートさせる。ニュージーランドで先月開幕した第31回世界遺産委員会(6月23-7月2日)で両県の関係者が富士山のPR活動を行うなど、知名度アップに向けた活動にも熱が入っている。
富士山が世界文化遺産となるためには、富士山が美術や文学、風習などに与えた影響を証明する「登録推薦書」の素案を作成し、国へ提出することがまず第1段階。国が素案を基に作成した推薦書を世界遺産委員会に提出する第2段階を経た後、関連組織の国際記念物遺跡会議(ICOMOS)が現地調査などを行い、最終的に同委員会が登録の可否を決める。
現在、国内では富士山のほか「古都鎌倉」や「富岡製糸場と絹産業遺産群」などが暫定リストに掲載されているが、両県は早期の推薦を目指している。
このため山梨県内では、富士山周辺の7市町村が5-6月、富士山の価値を証明する材料として「北口本宮冨士浅間神社」など富士山とかかわりの深い文化財のほか、天然記念物「忍野八海」、展望地「三ツ峠」などさまざまな資産を列挙。県学術委員会でこれらの材料と富士山との関連性について検証を進める。今後、県学術委員会として推薦書素案の原案を示す予定。
一方、現在ニュージーランドで開かれている世界遺産委員会で、山梨、静岡両県の関係者は富士山の美しさや価値をPRするパンフレットなどを来場者に配布。世界に「富士山」の名前を広げる下地づくりに励んでいる。
今後、政治、経済、文化などの各界の代表者でつくる「富士山を世界遺産にする国民会議」(会長・中曽根康弘元首相)とも連携し、国内でも登録実現に向けた機運の醸成を図っていく考えだ。
(2007年7月1日付 山梨日日新聞掲載)