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2022.2.11 所属カテゴリ: ふじさんクエスト / 文化・芸術 /

屏風に見る曽我物語

 「曽我物語」は、鎌倉幕府が幕開けした翌年の1193年、将軍・源頼朝が行った「富士の巻狩り」に乗じて、曽我十郎祐成と五郎時到兄弟が、父の敵である工藤祐経を討ち果たす物語。江戸時代には、謡曲や浄瑠璃、歌舞伎などにも取り上げられ、庶民の圧倒的な人気を得ていった。

 平安時代末期、曽我兄弟の祖父・伊東祐親に謀られて所領を奪われた祐経は、兄弟の父・河津三郎、祐親の暗殺を企てる。刺客の矢に当たって三郎は死ぬが、父のあだ討ちの場として兄弟が選んだのが、「曽我物語図屏風(江戸時代、山梨県立博物館蔵)」に描かれる「富士の巻狩り」だった。

 巻狩りとは、山の上から追い出したシカやイノシシを下で待ち構えた武士が射るもので、軍事訓練はもとより、政治的権力を示威する場ともなっていた。祐経の宿所を探り当てた兄弟は、警備が手薄な時間にあだ討ちを遂げ、さらに頼朝を討とうと宿所に突進するが、周囲の武士が兄弟に切りかかり、十郎祐成は討ち死に、また、五郎時致は頼朝の側近に捕らえられ、翌日処刑された。

 山梨県立博物館では2組の「曽我物語図屏風」を所蔵。右隻は「富士巻狩図」、左隻は「夜討図」を描く。右隻には中央部のやや左側に雲海の上から巻狩りを見下ろす富士山を配置。右側には家臣を従え、傘の下で巻狩りを眺める頼朝を、左端には落馬しかけながらも祐経を追う曽我兄弟を描いている。

 山梨県立博物館(笛吹市)が2022年2月21日まで、シンボル展「曽我物語図屏風」を開催。2組の「曽我物語図屏風」を中心に、歌舞伎や錦絵などで人気を集めた「曽我物」の資料をなど約40点を展示紹介。日本三大あだ討ちものの一つとして後世まで親しまれてきた物語の世界に迫る。

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