富士山周辺の景観保全へ広告規制強化
世界文化遺産に登録された富士山周辺の景観保全へ向け、2015年4月から、富士山麓地域で屋外広告物の設置に関する山梨県の規制が強化。幹線道路沿いに新設する看板などの広告物に現行の県条例より厳しい基準を定める「景観保全型広告規制地区」を指定。景観を乱す派手な看板などを抑制する。
富士山が世界文化遺産にふさわしいかを審査した国際記念物遺跡会議(イコモス)が、「屋外広告物が富士山周辺の美しい景観を阻害している」と厳しく指摘。これを受けて県は規制強化の在り方を検討した経緯がある。
主な規制強化の内容では、まず基準のなかった色彩の数を3色以下に制限。明度や彩度の上限も設ける。屋上への広告物の新設はすべて不可となり、建築物でなく地上に設置する「独立型の建植広告物」は、高さを一律5メートル以下に抑制する。
これまでに、
①御師住宅沿道地区(国道139号線)
②横町バイパス地区(国道138、139号線)
③富士見バイパス地区(国道139号線)
④富士河口湖富士線地区(県道707号線)
⑤新倉トンネル西側地区(国道137号線)
⑥船津小海線地区(県道714号線)
⑦富士登山道線地区(富士河口湖町道0101号線)
⑧インター線地区(富士河口湖町道0116号線)
⑨白木里宮線地区(富士河口湖町道0111号線)
が指定されていて、規制地区の総延長は25.5キロ。
色彩が限定されたり、設置する高さが低く制限されたりするのは、できるだけ目立った看板で消費者に売り込みたい設置者側にとっては手厳しい内容。しかし県はこうした規制を徹底することで、富士山の眺望景観の保全を目指す。
県条例では、基本的に広告物設置は県への届け出が必要。既存の広告物に新基準が適用されるのは、内容変更や老朽化に伴う建て替え、塗り替えの際になる。
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