富士山の推薦 国会に請願
世界遺産連絡協 220万の署名添え
山梨、静岡両県の自然保護団体などでつくる「富士山を世界遺産とする連絡協議会」(山梨県代表・内藤成雄富士山の環境保全を考える会会長、静岡県代表・杉山恵一県自然保護協会会長)などは14日、衆参両院に、政府が世界遺産リスト登録のための候補地として、富士山をユネスコの世界遺産委員会に推薦するよう支援を求める請願をした。請願には両県を中心に全国から12日までに寄せられた220万人の署名を添えた。
両院には杉山代表ら静岡県側のメンバーと、山梨県側のメンバー・中川雄三さん(連絡協事務局)らが訪れ、紹介議員として堀内光雄代議士らが立ち会った。請願書では「富士山を世界遺産として後世に残すことは世界に対する責務であり環境保全に取り組む日本の姿勢を世界に示すことになる」と訴えている。
同日は土井衆院議長、原参院議長への請願採択への協力を求める要望書も手渡し、杉山代表が「生物学的に見ても富士山は貴重であり、今後環境を守っていかなければならない」と理解を求めた。
土井議長は「富士山は心のふるさとであり、署名活動も全国的に盛り上がりをみせている。政府としてもこの問題への対応を迫られることになると思う」と述べた。
署名活動は100万人を目標に3月13日から始まった。連絡協のほか、企業や各種団体の組織的な協力があり、署名は北海道から沖縄まで全国各地から寄せられた。
連絡協は今後、世界遺産推薦の作業に携わる文化庁、環境庁、林野庁にも富士山の推薦を要請する。6月26日には静岡県裾野市民文化センターで富士山シンポジウムを開く予定。
連絡協は富士山を自然、文化の複合遺産の登録候補地として、国が10月に世界遺産委員会に推薦するように求めている。
国は昨年10月に文化遺産として「古都京都の文化財(京都市、宇治市、大津市)」を推薦したが自然遺産で現在推薦中のものはない。また羽田首相は7日、広島の原爆ドームの世界遺産への推薦を前向きに検討する姿勢を示している。 【当時の紙面から】
(1994年6月15日付 山梨日日新聞掲載)