増田誠と富士
洋画家・増田誠(1920-1989年)は、都留市下谷に生まれた。谷村尋常高等小、旧制都留中(現・都留高)を卒業し、終戦後は、北海道釧路市に移り住んで看板業を営みながら、洋画家の上野山清貢(1889-1960年)に師事。一線美術会に所属し、絵画の研さんに努めた。
1957年に、単身でフランスに渡り、以後32年間、パリを拠点に意欲的に創作活動を続けた。パリのさりげない日常生活や場所、飾り気のない人々を愛し、人間味あふれる独特の画風を確立。特に水の描写を得意とした。
フランス在住時には「サロン・ナショナル・デ・ボザール」をはじめ、同国内のさまざまな美術賞を受賞。国際画家として不動の地位を築き、1989年には都留市の名誉市民第1号となった。
日本国内では1970年から、都内の百貨店で個展を通算15回、また、1987年には、都留市で「増田誠絵画展」を開催。没後の1992年には、市ふるさと会館内に増田の絵画作品や資料の収集、管理、公開を行う「増田誠美術館」が開館。2015年に都留市博物館「ミュージアム都留」へ移転統合した。
増田自身、「ふるさとの思い出の中にはいつも富士山があった」と語ったように、晩年は「富士」や「城山よりの富士」(いずれも増田誠美術館蔵)など、ふるさとの都留市から見た富士山を描いた作品を数多く残した。
イベント情報
【冬季企画展】今井コレクション寄贈記念 増田誠新収蔵品展
【開催概要】
増田誠の代表作で、フランスの伝統ある美術国際公募展などに出展された油彩画6点を半世紀ぶりに一般公開。6点は1970~1975年に制作された油彩画。フランスの伝統ある美術国際公募展「ル・サロン展」に出展された「壁」は80号の大作で、娼婦とさまざまな壁紙が描かれています。セーヌ川の中州にある「サンルイ島」やパリの「サンマルタン通り」の街並みを表現した作品もあります。古本市や古物市で商品を選ぶ様子を表した「レ・ブッキニスト」「蚤の市」では、増田が題材に好んだという、顔に深いしわを刻んだ老人が登場。増田が得意なモチーフにした水辺の風景を描いた「ブルターニュ」も鑑賞できます。
【開催期間】2022年12月10日(土)~2023年2月12日(日)
【開催会場】都留市博物館 ミュージアム都留・第二展示室 (山梨県都留市上谷1-5-1)
【開館時間】9:00~17:00 (最終入館16:30)
【入 場 料】一般300円、高校・大学生200円、小・中学生100円 ※団体割引等あり
【休 館 日】月曜日、2022年12月29日(木)~2023年1月3日(火)、1月10日(火)
【アクセス】
◇〈電車〉富士急行線「谷村町駅」下車 徒歩約2分
◇〈車〉 中央自動車道富士吉田線都留ICより国道139号経由約10分
【問合わせ】ミュージアム都留 TEL : 0554-45-8008